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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
06
2018

ヒトラ―の忘れもの

UNDER SANDET / 2016年 / デンマーク、ドイツ / 監督:マーチン・サントフリート / 戦争、ドラマ / 100分
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戦争の責任を負わされる子供たち。
【あらすじ】
戦争は終わったが地雷を撤去させられる。



【感想】
1945年、デンマークはドイツ軍の占領から解放される。だが、デンマークにはドイツ軍が敷設した地雷220万が残されていた。地雷の除去には敗戦国であるドイツ軍捕虜があたったが、その多くは15から18歳の少年兵だった。第二次大戦中のナチスドイツは絶対的な悪として描かれることが多い。しかし、この作品ではデンマーク軍のほうが残酷な存在として描かれる。デンマーク人監督だから撮れた作品かもしれない。

いやあ、良かったですねえ。ここにきて今年一番の当たり作品の予感。

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地雷除去の経験がない少年兵が簡単な研修を受けて任地に送られていく。そこでは鬼軍曹のラスムスン(ローラン・ムラ、左)が待っていて、大戦の恨みとばかりに少年兵たちにつらくあたる。この人ねえ、挨拶代わりにビンタする感じの人だからなあ。冒頭3分で、目が合ったドイツ人兵士を拳でボコボコにしていた。こわー。

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ナチスドイツがしたことの責任は少年兵たちが負うことになる。ほとんど実戦経験のない彼らに戦争責任があるかといえばないだろう。だが、そんな言い訳など許されるはずもなく、彼らは地雷で次々と命を落としていく。

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地雷除去の練習場面は、いつ体が吹き飛ばされるかとヤキモキする。画面で観ているだけで目を背けたくなるのに、実際に作業にあたる恐怖はどれほどのものなのか。毎日毎日、いつ死んでもおかしくない緊張感に晒され続けるというのはすさまじいストレスなのだろう。実際、ちょっとおかしくなる人もでるし。こんな過酷な作業をたいして訓練も受けていない10代の少年兵がやっていたということが恐ろしい。ドイツ軍が仕掛けた地雷を二重にするトラップに引っ掛かって死んでいくのはあまりにも皮肉。

満足な食事も与えられず、地雷除去にあたる兵士たち。彼らの食事の面倒をみるはずの農家の女は、軍からお金をもらっていながら兵士たちに食料を渡さない。彼女には子供がいるが夫は出てこない。おそらく夫は戦死しており、復讐のために食事を渡さないのだろう。デンマークの軍人たちは、少年兵の寝泊まりする宿舎にきて暴力を振るったり嫌がらせを行う。

ナチスドイツは多くの映画で悪の象徴として描かれるが、ドイツ軍が特別残酷ということではないように思う。規模に違いはあれど歴史をたどれば虐殺をしていない民族はいないだろう。戦争になれば、どんな民族だろうと、どれだけ温厚な人だろうと残虐な行為をする可能性があるように思う。そしてそのつけは、少年兵や民間人などもっとも弱い部分が払うことになる。

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自分が犯してない罪についての贖罪を迫られるというのは無茶苦茶な話。鬼軍曹もドイツ兵との絆ができてしまい、あまりに過酷な地雷除去作業に疑問を持つようになる。だが、誰もが内心はおかしいと思いつつも命令には逆らえない。兄弟が死に、病床の中で左官屋になりたいという夢を語る少年兵が悲しい。一人一人やりたいことがあって、その細やかな望みさえ叶えられず無惨に死んでいく。地雷除去にあたった兵士2000人のうち半分が死亡、または負傷しており、その多くが少年兵だったというのはあまりにもむごい。

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最後だけは、やや救いのある展開にはなっている。鬼軍曹は命令に背いて、生き残った少年兵たちをドイツに返す決断をする。だが、現実はどうだったのだろうと思う。国に帰すという約束は反故にされ、地雷の撤去が終わるまで働かされたのではないだろうか。重苦しくもすばらしい映画でした。お薦めです。


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