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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
09
2018

天使の分け前

THE ANGELS' SHARE / 2012年 / イギリス、フランス、ベルギー、イタリア / 101分 / コメディ、犯罪
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犯罪者の幸せを素直に喜べるか。
【あらすじ】
子供が生まれるので更生したい。



【感想】
「麦の穂を揺らす風」「この自由な世界で」「SWEET SIXTEEN」などのケン・ローチ監督作品。貧困と格差などの社会問題を多く描いてきたケン・ローチ監督ですが、この作品は珍しくコメディタッチになっています。シリアスにいくのか、コメディにいくのか、ちょっと中途半端なまま終わってしまった印象。原題のエンジェルシェアというのは、樽の中で熟成したウィスキーが年2%蒸発して失われることを「天使の分け前」というそうです。おっしゃれー。使いたい。どこで?

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暴力事件を起こし、裁判所から300時間の社会奉仕を言い渡されたロビー(ポール・ブラニンガン)。前半はわりとシリアスな展開で、いつものケン・ローチ作品かなと思わせる。

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ロビーに暴力を振るわれた被害者にはなんの落ち度もない。一方的に殴られ、片目の視力を失ってしまい、残された目もよく見えない。この事件がきっかけで恋人とも別れたというし、これねえ、ロビーは償いようもないわけです。

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パートナーの出産も近いということで服役は免れたロビー。社会奉仕活動に参加し、そこで仲間たちと出会う。社会奉仕活動の指導者だったハリーからウイスキーの魅力を教えてもらったロビーは、伝説的なウイスキーの噂をかぎつけ、何瓶か失敬しようと考えるのだった。おおう‥‥犯罪者。

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どうもこの作品でスッキリしないのがロビーの立場。当初は、仲間の盗み癖を注意したりするものの、いつの間にかウイスキー強奪犯の主犯になってしまう。そもそも、樽に置いておくだけでウイスキーは年間2%は蒸発する(天使の分け前)わけで、その分なら頂いてもかまわないというのがロビーの理屈なのだろう。だがですよ、ロビーが2%盗むとすると、その盗まれた分からさらに2%蒸発するわけだから、おまえ、やっぱ泥棒じゃねぇか、と思いました。あと、盗んだところに安ウイスキーを足しちゃうし‥‥。で、ロビーたちはすったもんだあったものの、盗品を売却して大金をせしめたのです。

めでたしめでたし‥‥ってなるー? どうなのこれ。前半がシリアスなだけに感情が追い付かないのかな。暴力事件の被害者はね、不幸なままなんですよ。後半はコメディタッチだから、後半の雰囲気ならば人を何人か殺してもアハハハで済むと思うのだけど。

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あと、もう一点気になったのは私の中の犯罪者に対する考え方。一度悪いことをした人はずっと反省し続けてほしいと思ってしまう。でも、人は日々、悔い続けることなどできないだろうし、犯した罪は一生許されないのだろうかとも思ってしまう。ケン・ローチ作品には貧困のあまり、やむにやまれず罪を犯す人々が出てくる。こういった罪が本当に罪なのかといえば難しい。だが、被害者に対してなんの自責の念も抱かないというのも、おかしいように思えるのだ。ちょっとは反省せえよ、という。

なんでコメディタッチにしたのだろうか。巨匠もちょっとシリアスに飽きちゃったのかな。富裕層がウイスキーにバカげた値段を付けているのを嘲笑い、それを盗むことで留飲を下げる人にはいい映画かもしれない。だけど、犯罪者が生活を立て直すためにまた罪を重ねるというのがどうもなあと思ってしまった。私の頭が固いのかもしれんけど。じゃあ、あれか、いっそ蒸留所を全部爆破するか! もうテロしかないな! ばんじゃーい! わけのわからぬ結論。


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