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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
03
2019

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

DEMOLITION / 2015年 / アメリカ / 監督:ジャン=マルク・ヴァレ / ドラマ / 101分
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正直に生きられたら少しだけ楽になれるのかも。
【あらすじ】
妻が亡くなったが悲しめない。これって悪いこと?



【感想】
ジェイク・ギレンホールはいいですねえ。出ていると、つい観てしまいます。監督も「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・ヴァレとくれば、これは観るしかない。ちょこっと変わった映画でしたが楽しめました。悲しくもあるのだけど、どこか現実感がなくおかしみがあります。

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ウォール街の投資銀行のエリート社員デイヴィス(ジェイク・ギレンホール、左)。地位も名誉も手に入れ、美しい妻と豪邸で暮らしていたが、ある日、妻を交通事故で失ってしまう。しかし、デイヴィスは妻の死をまったく悲しめなかった。妻の死を悲しめないというのは「永い言い訳」に似ているかもしれません。こういう人、増えてるのかなあ。

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妻の死から少し様子がおかしくなったデイヴィスに、妻の父(クリス・クーパー、右)は「壊れた物は一旦、分解してみるしかない」と忠告を送る。何を勘違いしたかデイヴィスは、勤務先のトイレやパソコンから自宅までありとあらゆる物を分解しだすんですねえ。頭がおかしい。

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ディヴィスは妻の父親の会社にコネ入社し、そこで頭角を現わす。でも、本当は彼は投資銀行の仕事が嫌いだったのかもしれない。自分を押し殺し、周囲の期待に応えようとしているうちに自分の心を抑圧し、本当は自分が何を求めていたのかわからなくなってしまったように見える。

彼は正直すぎるのかな。これは「永い言い訳」でも感じたことだけど、自分はなぜ妻の死を嘆けないのかと生真面目に悩む場面がある。ディヴィスも妻の死を悲しめておらず、でもそれが良いのか悪いのか、もうなんだかわからないという状態に陥る。本人には気の毒だけど、この生真面目さが面白い。本当に悪い人は、こんなことじゃ悩みませんからね。

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本人は気づかないけれど、周囲の期待に応えようとずっと抑圧されていたのだろうなと思う。それが、ひょんなことから知り合ったカレンやカレンの息子(ジュダ・ルイス、左)との交流でほぐれていく。この場面は良かったですね。カレンの息子に対して世間的な正しさなど押し付けず、正直に自分の感じたことを伝える。対等の友人に見える。正直に振る舞うようになったデイヴィスは、ようやっと本当の自分になる。

彼はいろんな物を破壊したが、それらは周囲から与えられた物だったのではないか。本当に彼が心の底から望んだ物などなかった。それは周囲から見れば羨ましがられるような物でも、彼にとってはどうでも良かった。彼がすべてを破壊し、何もかも失ったときに妻との関係も見えてきたのだろうか。

車のサンバイザーの裏に妻が貼ったいたずらのメモ「晴れた日は会えない、雨の日は君を想う」。そのメモを見たときにデイヴィスは、自分が妻を愛していたことを思い出す。「妻を愛してはいた。しかし、その愛をおろそかにしていた」。もうねえ、あんまり我慢しすぎないほうがいいのかもしれない。

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正直になれば、案外ね、話が通じるんじゃないのかなと思わせてくれる。自分が思っているよりも、相手の懐が深かった、受け入れてくれたというのはよくあること。

彼が吹っ切れて、通勤電車でいつも乗り合わせる客に、自分はマットレスのセールスマンではなく金融マンだと告げる場面がある。これ、相手も嘘をついていたんですよね。実は俺もグラウンド整備の仕事はクビになっていて‥‥、と真実を語り出す。死んだ妻も同じで、彼女は浮気をして妊娠し、さらには子供を堕ろしていたこともわかる。彼は自分が妻を愛していたか悩んでいるのに、妻はヌケヌケと浮気をしていたという。それでもいいんですよね。もっと早く本音を話せていれば良かったのだけど。

妻の父親は、妻名義の奨学金を作ることをデイヴィスに提案した。でも、デイヴィスはそれを嫌がるんですね。で、彼が本当に何を望んでいたか考えた結果、かつて妻と乗ったメリーゴーラウンドを作って子供たちに楽しんでもらうことを考えつく。一見、バカげた考えで、妻の父親はこれを拒絶するかと思いきや、受け入れてくれる。

正直に自分の考えを話せば、けっこうみんな受け入れてくれるんじゃないのかなという。壁を作っているのは自分のほうだったというのは去年、私も感じたことで、思い切って相手にぶつけてみたところ、ちゃんとわかってくれたということがありました。意外とね、いけるのかなあという。もっと人を信頼して正直になってみてもいい。勝手に高い壁を築いて「周りは何もわかってくれない」と決めつけてはいけない。そんなことを感じる映画でした。


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