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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
02
2019

The NET 網に囚われた男

그물 / 2016年 / 監督:キム・ギドク / サスペンス、ドラマ / 114分
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先進国の驕りと幻想。
【あらすじ】
漁をしてたら漁船が故障して韓国まで流された。



【感想】
『嘆きのピエタ』のキム・ギドク監督作品です。この人の作品はちょっと変わっていて良いですね。脚本を担当した『レッド・ファミリー』も南北問題を笑いにくるみつつもシリアスな作品になっており、とても良かったです。

で、今回は北朝鮮で暮らす猟師ナム・チョル(リュ・スンボム)が主人公。モーターボートで漁に出るが網がからまってエンジンが故障、韓国側に流されてしまう。なんとか北に帰ろうとするが、韓国側からはスパイではないかと疑われ、執拗な取り調べを受けます。

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「電波少年」で懸賞生活をやっていた、なすびに似ている。特殊部隊出身で一度に五人を殺せるなすび。強い。

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韓国の発展した様子を見せるため、街中に置き去りにされるナム・チョル。北に戻ったとき尋問されることを恐れ、目を閉じたままでいるが、ついに目を開けてしまう。物があふれ、発展しているように見えた韓国。だが、弟の大学の費用を払うために売春する風俗嬢と語らううちに、本当にこの国の人々は幸せなのかと疑念を抱く。

北朝鮮は独裁国だから「あの国に生まれなくて良かった」などと思うかもしれない。情報統制がされて他国の事情を知らないから、国民は他国と比較できないということはある。それでも北朝鮮にも当たり前に肉親の絆や友情はあるわけで、政治体制や技術だけを比較してあの国は不幸だと決めつけることは不遜なように思えた。とはいえ、政治体制がひどすぎるというのは揺らがないところだけど。

独裁的な政治体制や戦争状態という個人ではどうしようもない不幸をのぞけば、技術発展がどれほど幸福に寄与しているかは難しいところがある。50年前の日本人と今の日本人を比較して、本当に今の人のほうが幸福と言い切れるかといえばそんなこともないように思う。いきなり殺されたりするような環境でなければ、それなりに幸福にやってるんじゃないかと思うんですけど、違うのかな。

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韓国も北朝鮮も同じように拷問まがいの取り調べをする取調官がいたりして。この人、本当に嫌な人だったなあ。爽やかな笑顔で爽やかに拷問。この取調官の存在が北と南の相似を現わしているのかな。ナム・チョルは韓国で執拗に亡命を勧められるが、それでも家族がいるから帰国を決める。

ナム・チョルの娘が韓国土産である喋るぬいぐるみではなく、以前から持っていた汚れたぬいぐるみを手にするのは、最後は家族や人との結びつきが大事ということを示しているように思えた。キム・ギドク監督にしては残虐な描写は抑えめでした。ずっと、なすびがネチネチ虐められているわけで、庶民のつらさというかねえ。拷問の後遺症でEDにもなってしまうし。

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ナム・チョルがボートで流されたとき、北朝鮮の兵士たちから警告を受けるんですね。ボートが故障しているなら泳いで戻れって言われるのだけど、ナム・チョルにとっていボートは全財産で彼はそれを手に入れるのに十年かかっているというのも切なかった。今にも沈みそうなボロボロの小舟なんですよね。ずっと真面目に働いて、あれが全財産なのだなと。切なくもいい映画でした。


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