FC2ブログ

旧作映画の感想、ネタバレしてます。
25
2019

未來を花束にして

SUFFRAGETTE / 2015年 / イギリス、フランス / 監督:サラ・ガヴロン / 歴史、差別 /  106分
33AL__20190225173603e2d.jpg
贈られた花束の美しさに気づいていなかった。
【あらすじ】
女性参政権を勝ち取りたい。



【感想】
原題の「SUFFRAGETTE」は、参政権を意味する「Suffrage」を女性にも与えるよう主張する女性団体のメンバーを意味します。『未来を花束にして』という邦題はとてもいいですね。団体メンバーは連帯を示すために帽子に花をつけていたようです。

この映画は1912年のイギリスが舞台になっています。日本の女性参政権は第二次大戦後、1945年からとなる。私が生まれたときには男女ともに当たり前のように選挙権があったわけですが、こうした苦労をして権利を獲得した人々がいてこそなのだと思います。

aL__20190225173605b74.jpg

1912年、ロンドン。モード・ワッツ(キャリー・マリガン)は、夫のサニー、幼い息子のジョージと暮らす平凡な主婦。健康に悪影響がある洗濯工場で、低賃金で長時間労働を強いられていた。女性参政権を求める運動をしている同僚と出会い、運動に巻き込まれていく。

zAL__20190225173608801.jpg

とにかくねえ、参政権だけでなくそもそも人権がないんですよね。ワッツは7歳から洗濯工場で働いている。職場ではセクハラ、不当解雇も当たり前。ある日、ワッツは女性参政権を求める集会に遭遇する。集会をする権利もないわけで、集まって抗議運動をしていると女だろうと警棒で顔面を殴られる。

ワッツは当初、女性活動家の過激さに批判的だった。店のショウウィンドウを投石で割る人々に嫌悪感を示していた。職場の女性たちも活動家に対して冷たい反応をする人たちが多い。彼女たちは苦しみの中にいるのだけど「自分たちも我慢してきたのだから、あなたも我慢すべき」という思考が働くのかな。過酷な体験をしたはずの人が、その理不尽なルールの強固な守護者になってしまうことがある。

ワッツは公聴会で自身の窮状を訴える証言をし、政治家からは同情を示す発言があったものの、それでも結局、女性参政権は与えられなかった。

テロがいけないというのは一般論として正しい。だけど平和的な活動が効果をあげることがなく、じゃあ、労働環境の改善や女性の権利拡大を主張する政治家に投票すればいいじゃないかとなりますが、その投票の権利すらない場合、どうしたらいいのだろうか。そんな状況でもテロがいけないと言い切れるだろうか。

ワッツたちは郵便ポストの爆破、政治家の留守宅に爆弾を仕掛けるなどしだいにテロは過激さを増していく。人が家にいないことを調べたうえでの爆弾テロだったが、忘れ物をとりに戻ったお手伝いが危うく爆発に巻き込まれるところだった。

クリップボード02gh

ワッツは運動に傾倒し、運動に反対する夫との関係は険悪になり別居。子供とも会わせてもらえなくなる。子育てが困難になった夫は、ワッツになんの断りもなく子供を養子に出してしまう。女性の親権もない。家族の離散、一緒に活動をしてきた仲間の死、そういったものがあってようやっと女性参政権が認められ、男女平等に一歩近づいた。参政権を得るためにどれほどの人たちが犠牲になってきたのだろう。

「未来を花束にして」というタイトルですが、その花束の価値を忘れることがしばしばある。生まれたときから当たり前に与えられていた参政権ですが、なぜ自分がその権利を手にしているのか、どういう経緯があって今に至っているのか、そういうことを教えられると投票に行こうという気にもなります。ありがたいこと。選挙が近づくと、選挙に行こうという宣伝を見かけますがこういう映画を観るほうが効果があるんじゃないのかな。

知り合いのサウジアラビア人と話したとき、いまだにサウジアラビアでは女性は男性の所有物という認識の人が多いとおっしゃっていました。映画の最後にはそのサウジアラビアでも2015年に女性参政権が認められたとある。世界は少しずつでもいい方に変わっている。とてもいい映画でした。お薦めです。


関連記事
スポンサーサイト



0 Comments

Leave a comment