FC2ブログ

旧作映画の感想、ネタバレしてます。
21
2019

アフターマス

AFTERMATH / 2017年 / アメリカ、イギリス / 監督:エリオット・レスター / 実際に起きた事件を基にした映画 / 94分
33AL__2019052123062863f.jpg
アクションをしない静かなシュワちゃん。
【あらすじ】
妻と娘を飛行機事故で亡くした。



【感想】
ユーバーリンゲン空中衝突事故という実際に起きた事故を基にした映画。アーノルド・シュワルツェネッガー主演作品。シュワちゃんは今作ではまったくアクションはせず、妻と娘を失くし悲しみにうちひしがれる男を演じている。また、この作品のもう一人の主役として、事故当時に管制業務にあたっていた管制官がいる。

IMDBを始め、日本のAmazonでも評価は低い。シュワちゃんに期待されるパワフルな役と、今回演じた悲しみにうちひしがれる男とのギャップが酷評の原因でしょうか。日本のAmazonで評価が低い理由は、ジャケットがアクションかパニック映画に見え、内容との乖離が著しいことも理由の一つかもしれない。IMDBでの評価が低調なのは、主役であるローマン・メルニックのモデルとなったロシア人ヴィタリー・カロエフ本人が映画を批判していることも関係しているように思う。ただ、映画自体は酷評されるような出来ではなく、いい作品だと思いました。

e__20190521230631304.jpg

建設現場で現場監督を務めるローマン(アーノルド・シュワルツェネッガー)。妻と妊娠した娘が帰宅するのを待ち望んでいたが、彼らが乗った旅客機AX112便は他の旅客機と空中衝突、乗客は全員死亡した。航空会社や管制官から直接の謝罪はなく、ローマンは失意の日々を送ることになる。

11__20190521230630afe.jpg

シュワちゃんも歳をとりましたが、まだ体に厚味があって元気な様子。シャワーを浴びる全裸のサービスショットも。どこに需要があるのかよくわからない謎のサービスである。

航空会社は弁護士を立てて慰謝料の支払いを申し出るが、ローマンは謝罪がないのに慰謝料を受け取ることはできないと突っぱねる。このときの弁護士の態度がひどくて、ああ、もうターミネーターの頃のシュワちゃんであれば間違いなくショットガンで解決していたのになあ!

ローマンの態度は終始紳士的で航空会社の人間を怒鳴りつけたり、嫌味を言ったりすることもない。ただ、悲しみに堪えているだけで観ていてつらくなる。

dAL__20190521230633313.jpg

飛行機事故は管制官ジェイコブ・ボナノス(スクート・マクネイリー)だけの責任とは言い難い。二人の勤務体制にも関わらず、一人は席を外しており、急遽入った電話工事によって通信が不調だったことも挙げられる。大きな事故はいくつかの要因が重なって起きてしまいますね。

ジェイコブは事故を起こしたことで精神のバランスを失い、家族とは別居。自殺も考えるようになる。ジェイコブは住まいと名前を変え、管制業務からはずれて新しい人生を歩むことになる。

0V1__201905212306346d9.jpg

ローマンは記者からジェイコブの住所を聞き出し、彼を刺し殺してしまう。実際に管制官を刺してしまったヴィタリー・カロエフは管制官が反省している様子はなかったと語っている。管制官は映画の中で記者に心境を語る場面がある。彼は「自分は悪くなかった、自分はむしろ善人なんだ」と自分勝手に聞こえる主張をくり返す。この言い分は、勝手に聞こえるけれど本当にそう思っていたのかもしれない。多数の乗客が亡くなった死亡事故に向き合うことはあまりにつらい。自分を正当化しなければ精神を病んでしまうかも。事故を起こす前の彼は、冗談が好きで家族を愛するごく普通の男にしか見えない。

ローマンが訪ねてきたとき、管制官がひどい態度をとってしまったとしても、それが本当に彼の本心なのかというとちょっと違うように思う。ローマンは家族の写真を投げ捨てた管制官を許せずに刺してしまったが、管制官のひどい行動は突然ローマンが現れたことへの驚きかもしれない。口から出た言葉がひどいものであっても、彼が今までまったく苦しまなかったというとそんなことはないように思う。正面から罪を認めれば精神がもたず、だから攻撃的な反応をしてしまったとも考えられる。管制官が亡くなった今ではそれを確かめる術などないけれど。ここら辺は誰にもわからないことなんですよね。

本当に問題なのは航空会社の態度に思える。彼らが真摯な謝罪とシステムの改善を発表していれば、この事件は起きなかったかもしれない。ウィキペディアを見て驚いたが、事件後、ヴィタリー・カロエフはロシアでは英雄として処遇され、北オセチア共和国の建設副大臣に任命されている。

管制官に落ち度がなかったとは言わないが、システムの欠陥を一人の個人に負わせてしまった結果、起きた悲劇に思える。いい映画だと思います。シュワちゃんの新しい挑戦にも拍手をおくりたい。


関連記事
スポンサーサイト



0 Comments

Leave a comment