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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
17
2019

アンチヴァイラル

ANTIVIRAL / 2012年 / カナダ、フランス / 監督:ブランドン・クローネンバーグ / SF、サスペンス / 108分
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憧れが行き着く先には何が待っている?
【あらすじ】
セレブと同化したい。



【感想】
題名の『アンチヴァイラル』は、抗ウイルス薬の意味。監督はブライアン・クローネンバーグ。父親は『スキャナーズ』や『裸のランチ』で有名なデヴィッド・クローネンバーグ。異常な世界観の映画で、たいへんよろしいと思います。才能を感じる。

近未来、セレブへの信仰が異常なまでに肥大化。人々は、セレブの体から採取されたウイルスを自分に感染させて同じ病気を発症させ、セレブと一体感を得ることが流行していた。君ら全員、頭おかしいんか。

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ルーカス・クリニックの社員シド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、ウイルスを求めてルーカス・クリニックを訪れる顧客をカウンセリングし、ウイルスを打っている。オシャレさん。

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口唇ヘルペスを発症した女優ハンナ・ガイスト。彼女のファンである顧客のため、彼女と同じ位置にヘルペスが出るように注射を打つシド。親切。

セレブを持て囃すメディアと大衆、金になればなんでも売りつける企業。批判や風刺というほど説教臭い感じはない。奇妙な寓話を彩る要素の一つというか。それらがグロテスクな美と融合され、この不思議な世界を楽しむことができる。

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こちらはセレブの細胞を培養したセレブ肉。安価で入手できるヒット商品なのだ。悪趣味ー! ファンはセレブの細胞が入った肉を食べ、セレブとの一体感を味わうことができる。

憧れが行き着く先というのはどこなのだろう。セレブと同じブランドを着たり、化粧品を使ったり、同じ食品を食べてみるというのは過去の話。セレブを食べることによってセレブそのものになる。行き過ぎたセレブ信仰をうまいこと茶化している感じがいいですね。

主人公シドは会社に隠れてセレブのウイルスを自分に注射しているため、しだいに具合が悪くなってくる。だいたいいつも絶不調という。

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体調不良なので医者に相談します。お医者さんは一見まともそうなのだけど‥‥。

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セレブの細胞から作った肉片をシドに見せびらかしてくるのだった。肉片を触ると‥‥、

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はあ~! このセレブとの一体感。た・ま・ら・ん! わかりますか、この気持ち!

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ただの変態ではないか。シド、ちょっと引いているような。「俺よりヤバい奴がいた」なのか「俺もアレ、欲しい‥‥」なのか。

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注射や血の場面が多い。赤い血と白い床の対比など、グロテスクで独特な美しさがあります。奇妙な作品ですが不思議とひきつけられる。みょうに心に残る作品でした。

私たちはセレブの肉を食べるわけではないけれど、SNSやメディアを通してセレブの情報を食べ続けている。その情報に価値があるかどうかなど関係はない。シドのように蝕まれていることに気づいていないのかも。さて、芸能ゴシップをチェックしに行かねば。

奇妙でグロテスク、退廃的な映画が好きな方にはお薦めです。


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