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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
05
2019

ハード・コア

2018年 / 日本 / 監督:山下淳弘、原作:狩撫麻礼、いましろたかし / 青春、ファンタジー、コメディ / 124分
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社会になじめません!
【あらすじ】
人生に迷い、埋蔵金を掘るバイトをする。ロボも出ます。



【感想】
世間になじめず鬱屈を抱えた男、権藤右近(山田孝之)の奇妙な物語。な、なんじゃこりゃ。主人公の気持ちがわかる人ほど世間にうまくなじめてない気がする。私、ちょっとわかるところがある。ちょっとだけ。本当にちょっとだけ。

金を憎み、純粋さゆえに世間と衝突してきた男、権藤右近(山田孝之)。右翼の金城銀次郎に拾われ、埋蔵金を探す怪しげなバイトでその日暮らしをおくっている。右近には友達と呼べる人間はバイト仲間の牛山しかいない。

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冒頭のエピソードが右近の人柄をよく表している。テレビではハロウィンの仮装パレードでバカ騒ぎする若者がとりあげられ、右近はその様子を苦々しく見つめている。ちょうど右近が飲んでいたバーに仮装した若者たちが入ってくる。彼らは、バーで飲んでいた女性客(松たか子)に絡みだし、カラオケを一緒に歌おうと誘う。彼らが盛り上がって歌っていたのが『睡蓮花』(湘南乃風)という。悪意がありすぎる。

右近は松たか子のことがちょっと気になってたんですね。松は困りながらも、ノリが悪い人間と思われるのも嫌だからか、カラオケに付き合い、若者がしつこくキスをせがむとノリでキスをする。その様子を見て右近は激怒し、若者に頭突きをかますという。それ、ただの嫉妬じゃんかあ‥‥。よくわかります。

右近と対照的なのが弟の左近(佐藤健)。実に良かったですねえ。

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ふらふらしている兄の右近とは違い、一流企業に就職。だが左近も、自分の肩書や年収にひかれて寄って来る女にうんざりしている様子がある。兄とはまた違う鬱屈を抱えている。むしろ左近のほうが無理をしているように映る。

右近の自由というのは、ただの逃避に見える。就職もせず、右翼の街宣活動を行い、「この国を正すなどと言いながら、バーで飲んだくれ、ボロアパートでその日暮らし。右近は汚れた社会に与しないで生きているから貧しいと思い込んでいるのかもしれない。だが、単に逃げているだけではないか。努力しても貧しいと、自分の無能さや現実を受け入れねばならない。だから競争からはずれた立場、アウトローになることで「あいつらとは違う」と脆弱なプライドを保っているように見える。

右近は金城銀次郎の下で埋蔵金発掘のバイトをしている。ある日、あるわけないと思われた埋蔵金を発見してしまう。右近は金を憎んでいたはずなのに、いざ大金を目にすると恩のあった金城を裏切って結局ちょろましてしまうのだ。

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そんな右近ではあるが、弟の左近はそれでも右近が好きなのだろう。兄の弱さや純粋さ、自分がとっくにあきらめたものをまだ持ち続けている兄に憧れているようにも見える。居酒屋で二人で飲んだとき、世の中のほうが間違っていると愚痴る右近に、左近は「世の中が間違っているなんて当たり前だろ!」と怒鳴る。私は左近のほうに感情移入ができた。この後、二人は殴り合いになる。後日、特に和解する場面もなく、ケロッとした様子で二人が話しているのが良かった。

社会になじめない者、なじめないながらになんとか折り合いをつけてやっていこうとする者、牛山のように社会から落伍者の烙印を押された者、どこか自分に思い当たる部分がある。あと、セックス大好きお姉さん、水沼多恵子(石橋けい)が出てきます。この人がねえ、最高でねえ。

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右近は勘違いから、弟が死んだと思うんですね。右近は行為が終わった後、多恵子に「弟が死んだんだ‥‥」と告白する。そのとき多恵子は「そういう話いいから、今度3Pしない?」と言う。最高に駄目な人という。どんな脳みそしてるのか。

結局、最後には右近は牛山と文明のない南の島で幸せそうに暮らしている。もはや彼らが幸せに生きるには日本から出るしかないのかもしれない。観る人を選ぶかもしれませんが、私は好きでした。佐藤健さんがとても良かったです。


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