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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2019

万引き家族

2018年 / 日本 / 監督:是枝祐和 / 社会問題、ドラマ / 121分
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社会問題の詰め合わせ。
【あらすじ】
犯罪をして生計を立てています。



【感想】
血の繋がりが家族というわけではない。是枝監督は一貫してそういったテーマで作品を撮り続けてきたように思う。『そして父になる』もそうでしたね。『万引き家族』は社会問題の詰め合わせのような映画でした。面白かったです。

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育児放棄、児童虐待、DV、独居老人、少女売春、貧困など、多くの社会問題による皺寄せがこの家庭に集まっている。一番弱いところに問題は集中する。問題ありすぎて、そんな家ってあるー? という気もしますが、まあそこはね。

息の合った連携プレーで万引きする治(リリー・フランキー、左)と息子の祥太(城桧吏、右)。父と子の職場が同じというのはいいかもしれない。子は親の仕事ぶりを見て尊敬したり、技術を継承できるかもしれない。って、万引きですけども。

治が警察の取り調べを受けたとき、「なんで子供に万引きさせたんだ」と訊かれる。そのとき「他に教えられることがないんです‥‥」と答えたのが切なかった。治なりの息子への教育が万引きで、それは一時しのぎにはなるかもしれないけど、間違いなく祥太の人生を悪くしている。でも、治にはどうしてやることもできない。普通の大人ならば児童相談所や孤児院などに連絡して、祥太を学校へ行かせるということを考えるだろうけど、彼はそれもしない。思い浮かばないのかもしれない。祥太やゆりを誘拐したときも、実の親からの虐待を見かねてのことだったのだが、それも警察にうまく説明できないんですよね。

愚かと言えば愚かなのだけど、その愚かさは笑う気にはなれないのだ。治なりに精一杯やった結果なのだろう。

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彼らが抱える問題の底には貧困の連鎖があるように思う。貧しさゆえに親から育児放棄や虐待を受け、きちんとした教育も受けられずに成長していく。自分が親の世代になったときにも子供に同様のことをしてしまう。この連鎖から抜け出せていないように見える。でも、彼らは子供に暴力を振るったりはせず、支え合って生き抜こうとする。その方法に問題は多いのだけど。

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家出して売春まがいのことをして稼いでいる亜紀(松岡茉優、左)。彼女だけは少し違うような気もする。家も金持ちで両親は彼女を虐待していたわけではない。本当に家を出るほどのことだったのかとも。ゆり(佐々木みゆ、中)がアイロンを当てられたり、殴られたりする虐待とは全然違うように思えるのだ。小さな子は逃げるという選択肢はないわけだし。

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安藤サクラが抜群に良かったですね。取り調べの場面で訥々と語り、涙をぬぐう姿がすばらしかった。彼女や治は最後には、祥太やゆりの本当の親のように見える。食事の場面が多い映画ですね。家族とは最初から当たり前にあるものじゃなくて、一緒に食事をとるとか、一緒に時間を過ごすという、平凡なことを繰り返して段々と本当の家族になったいくのかもしれない。

リリーさんが祥太を追いかけるところは、いかにも泣かそうとしているように感じてしまった。『そして父になる』も似た場面があったけど、監督は親が子を追いかける場面が好きなのかな。

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そんで樹木希林さんがまあ、憎たらしくも愛嬌のある婆さんを演じてましたね。したたかで最高ですね。

是枝作品はどこか希望を感じさせる終わり方をする。巷にはもっと過酷で救いのない現実が溢れているし、監督もそんなことはわかりきっているだろう。どの作品も優しさを煮詰めたような甘さを感じて、ちょっと甘すぎるんじゃないかと思っていた。でも、辛い現実がひしめきあっているからこそ、せめて映画の中だけでもということで、優しい終わり方になるのだろうか。いい家族映画でした。


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