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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2019

ハイパーハードボイルドグルメリポート

2018年 / 日本 / プロデューサー:上出遼平 / ドキュメンタリー / シーズン1(37分×5話)
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努力も選択も許されない人生。
【あらすじ】
あなたの食べている物、見せてください。



【感想】
テレビ東京で放送されていたドキュメンタリーをAmazonプライムが配信。これよく地上波で放送したなあ。久しぶりにすごいものを観た。黒背景のセットで芸人の小藪さんがボソボソとコメントするだけでネット番組のような雰囲気。

構成はシンプルで、元少年兵、台湾マフィア、ギャング、国境を抜けようとする不法移民、それを阻む自警団、カルト宗教の信者、出所したばかりの人などなど、いろんな人たちの食事をみせてもらおうという番組。人選すごいな。

どの取材対象も正面から取材を申し込んでも断られる人々。それを「食事を見せてくれ」ということで、いろんな話を引きだすことに成功している。そういった計算と、ディレクターの命知らずともいえる無謀さが絶妙にあいまって稀有なドキュメンタリーとなっている。というか、滅茶苦茶やる人だよ。これ、本当にいつ死んでもおかしくない。元少年兵の取材なんて、運が悪ければ殺されてると思うのだけど。雰囲気が不穏すぎるぞ。

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世の中には本当に不幸な人(というのは、私の思い上がりになってしまうけども)がいる。リベリアの内戦で戦った元少年兵の中には、住むところもなく墓地で暮らしている者もいる。

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寝床に当たり前に頭蓋骨があったりして‥‥。どんなベッドだよおおお。怖い。屋根もないし。

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彼女も元少年兵。一度の売春で200円ほど稼ぎ、それも一食分の食事代で消えてしまう。これから先、ずっとこうやって暮らしていくのだろうかと勝手に暗い気分になってしまうのだけど、安全で恵まれた場所にいる私に何が言えるだろうか。

スタジオの小藪さんも普段と違って口数が少ない。「いつかよくなるといいですね」とか、簡単に言えない。よくなる見込みなど、どこにもないのだ。誠実だからこそ、そういったことは言えず、ただ観るしかできないのだと思う。

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ディレクターは彼女に「今、幸せ?」と訊く。彼女は幸せと答えるんですね。この状況で幸せと言い切れることにうなってしまった。家族もなく、両親は死に、家もなく、無職で、明日のご飯もない。売春で稼ぐしかなく、たまに暴力も振るわれる。エイズの心配もある。私はこの状況になったとき、幸せと言い切れるのだろうか。

観ていると、良心の呵責のようなものを感じるんですよね。自分は、ただ運が良かっただけなのだ。たまたま空いている椅子に座れただけでしかない。自分が今ここにいるのは、日本に生まれたからで、親が学校に行かせてくれてご飯を食べさせてくれるという環境があった。彼女のように少年兵として殺すことを強要されたわけでも、命の危険に曝されたこともない。政府はその後、なんの援助もしていない。

圧倒的な理不尽さの中で生きているのにもかかわらず、幸せと言えることに、幸せの意味は何かと考えさせられる。世の中には選択肢がなく、努力することすら許されない人生を送る人がいる。その過酷な人生を、テレビ画面の向こうから娯楽として楽しんでいる自分がいる。

昨日は『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の2時間スペシャルが放送されていた。そこでは、ゴミの中で暮らす18歳の少年が出ていた。彼も私から見るとこれ以上ない不幸の中にいるのだけど、それでも「幸せ?」という質問に「あなた(ディレクター)と会えたから幸せ」と答えていた。私は幸せの基準を高くおきすぎているのだろう。お金がなければ、美味しい物が食べられなければ、趣味がどうとか、家だ車だとか、周りと比較して勝手にみじめな気分になっているのが先進国に住む人の不幸かもしれない。あまりにも甘ったるい不幸なのかもしれないが。生きてるだけでラッキーという、今後はこの方針で行こうかと思います。不幸など、何もない。

リベリアが舞台の映画『ロード・オブ・ウォー』『ブラッド・ダイアモンド』なども面白いです。


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