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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
18
2019

デトロイト

DETROIT / 2017年 / アメリカ / 監督:キャスリン・ビグロー / 実際に起きた事件を基にした映画 / 143分
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【あらすじ】
狙撃されたと勘違いして黒人を拷問、処刑。



【感想】
『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』などのキャスリン・ビグロー監督作品。またハードなものを撮りましたね。どんどんハードになってるわ。どうなってしまうのか。143分という長尺な映画で、途中ずっと白人が黒人を拷問しているのを観続ける。し、しんどい。

1967年のデトロイト暴動の最中に発生したアルジェ・モーテル事件を題材にした映画。

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暴動の様子、ただならぬ緊張感が恐ろしい。現場の警官たちは銃を持っていても怖いでしょうね。差別に不満を持つ黒人たちの一部は暴徒化し、暴動に乗じた略奪、放火も行う。問題のある黒人たちの行為についても描いており、単純に白人が悪で黒人が善という描き方をしていない点もいい。重傷を負った黒人を助けた白人警官、真面目な黒人警備員ディスミュークス(ジョン・ボイエガ)もいる。

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この人、若い頃のデンゼル・ワシントンに似ていますね。ふとしたときに見せる表情がそっくりで驚く。

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無実の黒人をひたすら虐待し続けた警官フィリップ・クラウス(ウィル・ポーター)。演じたのは『リトル・ランボーズ』でやんちゃな子供を演じたウィル・ポーター。ううう、あの頃はかわいかったのに、なぜこんなひどいことを‥‥。

本当にねえ、ウィル・ポーターの演技がすばらしかったですね。よくここまで残虐な警官役を演じきったなという。演じれば演じるだけ損する役というか。あまりにすばらしい演技なので、世間から嫌われてしまいそうですが。

卑劣すぎて観ていて具合が悪くなるほど。拷問した警官は、自分が黒人に生まれていたらどうだったかなど、一度もそういう想像をしたことがないのだろうか。日常的に黒人の暴動や犯罪と対峙し、黒人を憎む心がふくらんでいったのだろうか。警察という仕事は、どうしても人の良い面よりも悪い面を見なければならない仕事だろうし。今では誰しも異常と思うことがそうではなかった。それぐらい時代の空気というのは恐ろしいものだし、自分が同じ時代にいたら流されてしまうのかもしれない。

クラウスに引きずられたデトロイト警察の暴走を、誰も止められなかったというのが恐ろしい。暴動鎮圧のために州兵も派遣されていたものの、デトロイト警察にかかわることを避けようとする。州兵は黒人たちから狙撃を受けたと勘違いしたわけだけど、もし彼らがデトロイト警察をとめていればこの虐殺は防げただろう。関わらないことによって、虐殺に加担してしまった。

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無実の人間たちを拷問、処刑したアルジェ・モーテル事件は裁判になる。だが、裁判では陪審員の全員が白人で構成され、殺人を行った警官たちは無罪となる。後味、悪いなんてもんじゃない終わり方。

アメリカはしばしば滅茶苦茶なことをやる。それはアメリカに限らず、どの国でも同じなのだろうけども。ただ、それでも他の国よりまだアメリカが信用できる点があるとすれば、自国の恥になる歴史を映画化して歴史の鑑にしようとするたくましさがあるからです。『デトロイト』もそんなアメリカの復元力を感じさせる、沈鬱だけどすばらしい作品でした。

アメリカは現在でも白人警官による黒人射殺事件がしばしば起きている。それでも1967年よりは良くなっている。そう信じたい。


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