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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2019

パンとスープとネコ日和

2013年 / 日本 / 監督:松本佳奈、原作:群ようこ / 日常 / シーズン1(全4話)
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いつものかもめ食堂的なやつ。
【あらすじ】
サンドイッチとスープの店を開いた。



【感想】
小林聡美さんが出ている一連の作品『かもめ食堂』『トイレット』『めがね』『プール』『東京オアシス』『マザーウォーター』をかもめ食堂ものと呼んでいる。『かもめ食堂』『トイレット』『めがね』は荻上直子監督で、それ以外は別の監督が撮っている。でも、そこに流れるのんびりとした空気は似ている。好き嫌いがかなり分かれる作品で、何か事件が起こらないとイヤという人は避けたほうがいいかも。特に何も起きません。

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美味しい食事と温かみのある木製家具、穏やかな人たちとの静かな時間、そして小林聡美である。これぞ、いつものやつ。

アキコ(小林聡美)は堅実な仕事をし、編集者として着々とキャリアを積んでいた。しかし、ある日、経理部への転属を命じられる。アキコの心はポキリと折れてしまったのか、あっさりと退社を決意、母が遺した飲食店を改装してオープンする。

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パンとスープの店は繁盛し、軌道に乗っていく。母の時代から来ていた優しい常連客、編集者時代に世話になった先生、お向かいの喫茶店のおばちゃん、ちょっと変わった店員のしまちゃん(伽奈、左)、ガツガツしてない男前の坊さん、そして拾った猫。好きな物や人に囲まれて生きていくストレスゼロの理想の生活に見えるのだ。

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そんな世界、ありゃしないんだよ! ファンタジーですよ、ファンタジー。でもねえ、ここに憧れるというのがね、すごくわかるような気がする。

もうさあ、30歳超えてからがいろいろ大変じゃないですか。とりあえずなんとか仕事はしているものの、キャリアも積んでるんだかどうだかよくわからんし、周囲はどんどん結婚していく。SNSでは自分以外の人はみんな幸せそうな感じがして焦りだす。親や親戚はやたらと結婚をせかすし、周りのいい物件は全部売約済みで、残っているのは事故物件ぽいのばかりという。

他人から評価され、また他人を無意識に評価してしまうわずらわしさ、比較と評価の繰り返しが心を荒ませる。同窓会なんて絶対出たくない。部屋の中の物を全部バットでぶっ壊して、どこか遠くへ逃げたくなるじゃんかあ! ならん? あ、そう。

というですね、30代以上の女性の避難所的作品に思えるのだ。小林聡美のいいところは、そういった焦りをまったく感じさせないところ。半分死んでるのでは? ぐらい超然としている。周囲の人々も、うるさいことはまったく言わないし、彼女を温かく見守っている。

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このおばちゃん(もたいまさこ)はうるさいんだけど、実はいい人なんですよね。毎度毎度、いいキャラですよねえ。親戚のおばちゃんにそっくりなんだよなあ。

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それとこのシリーズに特徴的なのが性の臭いがまったくしないこと。全員、無性生殖で子供が生まれる世界のような。生臭さや恋愛の駆け引きに疲れてしまった人には、それでもいいのかも。知り合いの女性が「手だけ繋いで寝たい。セックスしなくていいから」と言っていた。疲れた人には、このドラマが沁みるのかも。

わずらわしいものをすべて排除した結果、作り上げられたのがこの独特でいびつな世界に思えるのだ。それが嫌かというとまったくそんなことはなくて、たまにこういった作品を観たくなるのです。好き嫌いあるかと思いますが、好きな人は何度も観てしまうんでしょうね。しまちゃんの不器用で正直な感じが良かった。フードコーディネーターの飯島奈美さんが作る料理はいつも美味しそうに見える。1200円なあ‥‥ちょっと高くない?

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