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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
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2019

ダウントン・アビー

DOWNTON ABBEY / 2010-2015 / イギリス / 監督:ブライアン・パーシヴァル、ベン・ボルト、ブライアン・ケリー、アンディ・ゴダード、ジェームズ・ストロング、アシュレイ・ピアース、 原案:ジュリアン・フェローズ / 時代劇 / シーズン1~6(全52話)
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「対立のたびに絶交していたら、今頃、私に友人はいないわ」
【あらすじ】
イギリス貴族、使用人の暮らし。



【感想】
Amazonプライムで配信していたのでシーズン6まで一息に視聴。面白かったー! 今まで観たドラマの中でもっともはまりました。好きなドラマや長編小説が終わりに差し掛かった時、もっとこの世界に浸っていたい、終わってしまうのがさびしいと思うことがあります。ドップリと貴族の世界に浸れる作品でしたよ。好き。

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ドラマの舞台となるのは1912年から1925年のイギリス、ヨークシャーの架空のカントリー・ハウス ダウントン・アビー。エドワード朝時代以降の貴族、グランサム伯爵クローリー家とその使用人たちの生活が描かれる。

タイタニック号の沈没から物語は始まり、1914年には第一次世界大戦が始まる。まさに激動の時代。大勢の使用人たちを使い、豪奢な暮らしをしていた貴族たちにも時代の変化は訪れる。破産する領主も多く、貴族は質素な生活へと転換を迫られる。貴族が貴族らしい暮らしをしていた最後の時代になるのかもしれません。

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建築、調度品、衣装、習慣、優雅で諧謔と皮肉に満ちた言葉の応酬、華やかな社交界、主人と使用人の関係など、とても興味深い。

今までは男の召使というと執事と使用人だけかと思っていましたが、役職が細かく分かれていた。屋敷のすべてを取り仕切って使用人の監督をする執事、主人や客の身の回りの世話をする従者、給仕などをする下僕。下僕にも順位があり第一下僕、第二下僕などがいる。みんな仲良くやっているかと思えば、使用人の中でも順位争いや差別がある。モールズリーは「従者だったのに、今更、下僕の仕事はできない」とすねてみせたり。下僕は手袋をつけるが執事はつけないなど、いろんなルールがある。

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順位争いが大好きなトーマスさん(ロブ・ジェームズ=コリア―)。屈折しまくってたなあ。顔色が青白く美男子なのでドラキュラ役が似合いそう。侍女のオブライエンと性格最悪タッグを組み、従者のベイツを追い込みます。

なんて嫌な奴だと思っていましたが、最後にはトーマスにすら「幸せになってほしい!」と願ってしまった。長く観ているから感情移入がすごい。勝手に、遠い親戚みたいな気分になってしまう。

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ハリー・ポッターシリーズでおなじみのマギー・スミス。第三代グランサム伯爵ロバートの母親バイオレット。この人がねえ、たまらなくいいんですよね。古い価値観を重んじ、家族やイザベル(ペネロープ・ウィルトン、下)とたびたび対立する。でも、最後には変化を受け入れる心の広さを持っている。皮肉と諧謔に満ちた言葉の応酬がたまらない。平たく言えば、センスのある悪口だけど。

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バイオレットは保守、イザベルはリベラルなのかな。二人はケンカもするし、憎まれ口をたたき合っているがお互いのことは認めている。距離感がすばらしいんですよね。意見が違えば疎遠になったりしそうだけど、そんなことはない。ケンカしつつ、しょっちゅうお茶を飲んでいる。いいなあ。こんなお年寄り、最高ですよ。

バイオレットの言葉に「対立のたびに絶交していたら、今頃、私に友人はいないわ」というものがある。意見が違ってひどくこじれることもあるけれど、それでも関係をあきらめない。その意志の強さに引き付けられました。

これはバイオレットだけじゃなくて、みんなそうですね。ぶつかり合うことで絆が深まっている。雨降って地固まるような。みんな、ものすごく打たれ強い。見習わなければ。

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姉妹の仲が悪いメアリーとイーディスとか。お互いが嫌いで恨んでいても、最後の最後には支え合う。本当にギリギリのところでしたけど‥‥。刺し合っていても全然不思議ではないな。

メアリーは気の強さと優しさが同居しており、感情の起伏が激しく、すぐに周囲と衝突する。いろんな人に食ってかかるけど、執事のカーソンやアンナにはすごく優しかったり。気品があって気分屋で色気もあって、すてきな人ですね。実際いたら、なかなか面倒臭い人だと思いますよ。

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伯爵に仕える人々も、ただ従順なだけではない。本当に一癖も二癖もあって癖だらけ。夢を追って新たな職に就く者、退職後の第二の人生を模索する者、トラブルを起こして辞めていく者、一つの会社の歴史を追っているような気持ちになりました。みな、このダウントン・アビーという場所から羽ばたいていく。執事のカーソン(ジム・カーター、左)、家政婦長のエルシー・ヒューズ(フィリス・ローガン、右)が本当に味があります。カーソンの頑固さがね、たまりません。かわいげのある頑固さ。ある人の病気が良性とわかって、一人で嬉しそうに銀食器を磨く姿とか、た、たまらん!

シーズン1から6と長いですが、扱われる問題も多様で飽きさせない。領地運営の近代化、台頭する社会主義者、同性愛に対する偏見、宗教対立、身分差のある婚姻など。

かなり展開が早い群像劇のドラマで場面の切り替わりのテンポが速い。ボーっとしているともう次に進んでいるので、巻き戻して観ることもしばしばあった。笑える場面、ホロッとさせられる場面も多い。最後は強引なまでの大団円という。シーズン6まで50時間以上観続けてきたから、キャストへの思い入れがとても強くなっていて、全員に幸せになってほしいと思ってしまった。だから、これでいいのです。ええ。いいことにしようじゃないの。

貴族についてはかなり好意的にとりあげられている。貴族からお金をもらってるのではないかと疑うほど。戦争があり、「古き良き」とは簡単に言えない時代ですが、1900年代初めのイギリスの雰囲気にドップリと浸れるすてきな作品でした。今までに観た最高のドラマかもしれない。お薦めです。2019年9月には、ドラマの8カ月後を描いた映画も公開されるそうです。楽しみだ!


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