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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
26
2020

王様のためのホログラム

A HOLOGRAM FOR THE KING / 2016年 / イギリス、フランス、ドイツ、メキシコ、アメリカ / 監督:トム・ティクヴァ、原作:デイヴ・エガーズ / ドラマ / 98
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【あらすじ】
サウジアラビアで会議用3Dホログラムシステムを売りたい。



【感想】
『王様のためのホログラム』を検索しようとしたら、サジェストで「王様のためのホログラム つまらない」と出てしまった。ヨヨヨ‥‥。散々な評価を受けておるよ。たしかに面白くはないのだけど、そこまで酷評されるほどなのかしらと思った。

アメリカでいろんなものを失った男が、サウジアラビアで国王に3Dホログラムシステムを売り込もうとする。だが、王様は会ってくれないし、wifiも繋がらないからプレゼンもできないし、食事もまともにとれないし、テントのクーラーは壊れて大変なのだった。うまくいかぬことばかり。トム・ハンクスが四苦八苦する映画です。

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トム・ハンクス演じるIT企業の営業マン、アラン・クレイ。彼はアメリカのメタファーなのかなと思う。かつては大手自転車メーカーの取締役で、美人の妻とかわいい娘、立派な自宅もあった。順風満帆だった生活も今は昔。アランは会社の生産拠点を中国に移したものの、技術をとられてしまいクビとなる。妻には離婚され、娘の学費のために家を売るよう迫られている。父との関係もうまくいってない。

かつて世界の中心であったアメリカだが、今やその勢いはない。後ろには中国の影が忍び寄っている。アメリカが世界の中心にあったのは90年代までで、同時多発テロ以降はもはや状況を制御できなくなった印象がある。アメリカもアランも、共に自信を失っている。アラン、女性といいところまで行っても、男性機能が役に立たなかったりで、なかなかつらいのです。

やっぱりね、これがトム・クルーズだと駄目だと思います。アメリカを代表する俳優であるというのはどちらも同じなんだけど。トム・クルーズはどんなピンチになっても世界を救いそうである。トム・ハンクスはうまい具合に疲れた感じを出せるのがいいんですよ。「俺、やっぱり駄目かも‥‥」という。それにほら、トム・クルーズはバキバキだから。知らんけど。

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サウジアラビアという新天地で一念発起やり直そうとがんばるものの、商習慣の違いなのか、現地人のいい加減さなのか、プロジェクトはまったく思うように進まない。もう仕事をあきらめて、ドライバーの狼狩りにつきあったり、適当にやり出したら、物事がうまくいくのも面白い。人生万事塞翁が馬ということか。

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アランは背中に瘤ができ、それを医者のハキム(サリタ・チョウドリー、左)に手術してもらう。この瘤は中年の男が背負い続けてきたさまざまなもので、彼は手術によって解放され、ハキムと恋に落ちる。結局、3Dホログラムの契約も中国にとられてしまうし、会社はまた辞めることになるし、うまくいかなかったもののアランの表情は明るい。サウジアラビアで仕事を見つけ、ハキムと共に人生をやり直すのだ。まだまだいくらでもやり直しはきくんだ。

ハキムの「私たちの差は思っているほど大きくない」という言葉が印象的だった。サウジアラビアの文化は変わったものが多いが、けしてわかりあえないことはない。

希望を失いかけた中年の男に、現在のアメリカの姿を重ねた寓話的作品に思える。まあ、そんな思い詰めなくてもなんとかなるよ。金銭的豊かさや社会的地位だけが成功ではないというのは常套句かもしれないが、それほど説教臭い感じはしなかった。トム・ハンクスの力の抜け具合がいいのかな。

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トム・ハンクスが売ろうとしていたホログラムは精巧なものだけど虚像は虚像である。今までアメリカは世界中に虚像を売り歩いてきたということなのかな。豪華だったり、便利だったりしたけど実がないというか。本当に大切なものはどれぐらいあったのだろうか。一度、立ち止まって振りかえってみようというメッセージも感じる。幾重にもメタファーを重ねた作品なのかもしれないが、はたしてこれが面白いかと言えば、そうでもなかったり。それが難しいところ。途中、二回寝た。バカにメタファーは効かないからな。

年を重ねてから観れば、受け取り方が変わる作品かもしれません。


ん~、ちょっと観返してみたのだけど、べつにアラン=アメリカということじゃないのかも‥‥。ただの疲れたおじさんかも‥‥。


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