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2011

映画「ハート・ロッカー」

▼ハート・ロッカー / 2008年 米
イラクで活動する米軍の危険物処理班の話。とにかく緊迫感に満ちている。
帰還兵を取り上げた番組を観ると、精神を病んでしまった人がよく出ている。この映画を観ると、その理由も納得できる。

とにかく異常なまでの緊張状態の連続である。そして疑心暗鬼を生ずという話である。
爆弾の解体作業をしているときに、イラク人が携帯電話をいじっているのが見える。それがアメリカ兵にとっては、遠隔操作で爆弾を爆破しようとしているのか、本当に携帯電話をいじっているのか見分けがつかない。

銃を突きつけて、携帯を捨てろと命令するが言葉が通じない。イラク人はただ脅えるだけである。それが本当に言葉が通じないのか、言葉が通じないフリをして携帯をいじり続けているテロリストかわからないのだ。そして爆発は起こってしまう。このイラク人がテロリストだったかどうかは、はっきり明かされない。おそらくそうだったのかもしれないという程度である。こういった曖昧で気持ちの悪い状況が多い。

疑えばどこまでも疑える状況、どこにあるかわからない爆弾、一般人と見分けのつかないテロリスト、目の前にいた同僚が次の瞬間には爆弾で吹き飛ぶ現場。あまりに理不尽で、気がおかしくなってもしかたがない。前線の兵士は、狂気と正常の境を行ったり来たりしているように見える。

主人公は、なぜこの仕事をやめないのだろうか。同僚の死は珍しくないし、みずからも何度も死にかけている。爆発物を解除した瞬間の達成感なのか、それともこの状況をほっておくことはできないという正義感なのか。彼は、この異常な状態の中毒になっているようにも見える。

反戦映画ですらない。ただ、「こういう狂った状況が存在しています」と、それだけを告げられたような気がした。これを観て、どう考えてほしいとか、戦争を起こさないでほしいとかじゃなく、こんな狂った状況があるんですよという。

キャスリン・ビグロー監督のインタビューにあったが、無名の役者を起用したのは正解だった。これがトム・クルーズなら、彼は確かに物語終盤まで死なないだろうし、死ぬとしても英雄的な活躍をして死ななければならないだろう。トム・クルーズが出る時点で、観る側の心の中に無意識にそういった約束事が準備されてしまうだろう。だが、無名の役者を配したおかげで、誰がいつ死んでもおかしくないという緊張感が表現されていた。
 
ジャケットを検索して驚いたが、そっくりさん映画がある。えーと、これはやはり意識してますよね。間違えて借りさせようとしてますよね。 あまりに似ているので「そっくりさん映画」のコーナーを始めようかと思ってしまった。しかし、そっくりさんの「ハート・アタッカー」ですが、レビューを見るとなかなか評判がいい。
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