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2012

あんまり喋らない人たち 映画「迷子の警察音楽隊」

迷子の警察音楽隊
2007 / イスラエル・フランス・アメリカ / 監督:エラン・コリリン /人間ドラマ

「まったくもう、今の若いヤツは‥」などと言いそうな隊長。渋いです!
【あらすじ】
1990年代イスラエルが舞台。文化交流のためにエジプトから警察音楽隊がやってくる。しかし、手違いで迎えが来ない。自分達で目的地を目指した彼らは、間違えて一文字違いの別な町に着いてしまう。途方にくれた彼らだが、親切なイスラエルの人々に一晩泊めてもらうことから交流が始まる。

【みどころ】
古い人、若い人、違う国の人。話してみれば意外と交流できるかも。少し前の日本には、この隊長みたいな人もいたかもしれない。

【感想】
あまり起伏がないシナリオなので、オチもないですしネタバレもないのかな。実に静かな映画なんですね、セリフもあまりないし音楽もほとんどない。イスラエルってもっと栄えている印象があったのですが、ここに出てくる町は荒涼とした土地にポツポツと建物があるような感じです。

イスラエルとエジプトというと、どうしても政治的な重苦しい話をイメージするかもしれませんが、この映画ではその部分には直接触れません。触れないんですが、背後に音もなく、でも確かに流れているのを感じます。

警察音楽隊の隊長トゥフィーク(サッソン・ガーベイ)は少し古いタイプの人間です。エジプトから来ているので国の代表として恥ずかしくない振る舞いを心掛けているのがうかがえますし、音楽隊に迎えがなかったときも自分たちでなんとかしようとします。こういう人いいですね。

そういった按配なので、若手隊員カーレド(サーレフ・バクリ)とはうまくいってません。女好きですぐナンパするし。

カーレド(左、後姿)は道に迷ってご飯も食べてないから「飯食いたい!」って言う。思ったらすぐ言う人である。実は他のメンバーもそう思ってるんですが、言い出しにくかった。

右端の隊長は渋い顔ですが、他のメンバーは「よく言ってくれた!」と思ってます。現実にもこういうのあるなあ。

ナンパ中の隊員カーレドさん。女の人に夢中で、行き先を間違えます。

そして隊長には「おまえ即解雇な」と言われる。隊長、けっこう過激。

この後にカフェで食事を取って、もうこの日はバスがないことを知り、そこの親切な女主人ディナ(ロニ・エルカベッツ)と客?の家に泊めてもらうことになる。この映画、イスラエルとエジプトの人がお互い遠慮しつつもわかりあっていくのもそうなんですが、隊長と若手隊員という異なる世代の相互理解もテーマの一つだと思います。

それと興味深かったのは、エジプト人がほとんどしゃべんないことです。カフェの客の家に泊まることになった3人ですが、この人たちほんとに無口。隊長もですが。

ふつうはあまり親しくない人といても、その場を和ませるためになんとか話そうとしますが、そういう発想がないのかもしれません。そこが新鮮でした。話しかけられなければ、ずっと黙ってる。

で、泊めてくれた家族もあんまり歓迎してません。都合の悪いことや悪口はヘブライ語(イスラエルの公用語)でエジプト人にわからないように話します。エジプト人もアラビア語(エジプトの公用語)で仲間内でボソボソじゃべり、この家族と話すときは英語でしゃべります。

この作品でお酒がよく出てくるのですが、わたしはイスラム教は全面的に禁酒なのかと思っていました。ネットでみると、どうもそういうことではないらしいです。とても厳しい国ですと所持しているだけで逮捕もあるらしいですが、緩いところは緩いらしいという。違う国に行って飲んじゃうとか、結婚式はOKとかいろいろあるらしいですし、ここらへんの感覚は現地の人でないと難しいですね。

この左の太っちょの人が、しきりにグラスを拭いていてこの家の奥さんに「ちゃんと洗ってるわよ!」とヘブライ語で言われるシーンがあります。でも、この怒られた人って実はお酒を飲みたかったんじゃないかなあ。そんな気がしました。勧められても一応断りはするものの、でも本当は飲みたいという。

若手団員のカーレドもお酒の小瓶を隠し持ってますし、戒律に対する感覚も世代によって違うのかもしれません。その背景がわかると、より楽しめるかもしれません。エジプトとイスラエルに対するイメージが少し変わりました。

そういや、日本でいえばクラブにあたるのかもしれませんが、盛り場でローラースケートをやってました。ちゃんとDJもいたけど、なんか妙な感じだった。中東の暮らしがわかるような映画がもっと入ってきたら嬉しいなあ。


 
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