24
2012

映画「ボンボン」

・ボンボン
2004年 / アルゼンチン / 監督:カルロス・ソリン / 人間ドラマ

人が犬を思うほど、犬は人を‥‥。
【あらすじ】
20年間働いてきたガソリンスタンドだが、経営者が変わったことであっさりクビになったビジェガス(ファン・ビジェガス)。失業後、やることなすことうまくいかない。娘夫婦の家に居候するも稼ぎがないので肩身が狭い。お金がー、お金がー。そんななか、なぜか大きな犬をもらってしまいました‥‥。

【感想】 ネタバレしてます。映画のストーリーをほぼ書いてしまった。
この主演のビジェガスさんが本当に人がよさそうなんですねえ。人がよすぎて、相手の言う事を断れない。そのせいでいろいろ貧乏くじを引かされてしまう。このボンボン・オ・ルシアン(以下ボンボン)という犬をもらったのも、そうである。

道で車が故障して困っていた持ち主を家まで送り届け、車も修理してやって、そのお礼にと犬を押し付けられてしまう。自分も娘の家に居候中でひっそりと生活してるのに、こんな大きな犬を連れて帰ったら娘に怒られるにきまっている。だってエサ、ものすごく食べそうだし。ウンコも太い。知らないけど。

案の定、娘は大激怒するのだった。当たり前である。だが、小切手を現金化しようと、犬を連れて銀行に立ち寄ったことで運命が変わっていく。パリッとスーツを着こなした銀行の偉い人が、見た目もボロい服を着ているビジェガスをためらわずに自分の部屋に招き入れ、犬のトレーナーを紹介してやる。とても親切なんですね。

この気さくさというのが彼がそういう人間なのか、アルゼンチンの人はこういう気さくさを多かれ少なかれ持っているのか、どちらなのだろう。富裕層が貧困層を敬遠するような感じが微塵もない。この映画が公開された2004年のアルゼンチンの失業率は13%でとても高い。失業という状態がよくあることで、失業者など珍しくなんともないということなのだろうか。

2002年の22%という失業率からみれば急速に改善しているとはいえるものの、とんでもない高さである。で、その銀行の人にトレーナーのワルテル・ドナード(ワルテル・ドナード)を紹介してもらうのである。ちなみに主演のビジェガスさん、トレーナーのワルテルさん、お二人とも役者ではなく一般人のようです。すごい!こんなに味があるのに!ビジェガスさんは実際には駐車場で働いているようです。

で、このトレーナーのワルテルさんが怪しいんである。つのだ☆ひろに似ている。(つのだ☆ひろさんは怪しくありませんが)

「おまえは、ワシの言うことだけ聞いとりゃ間違いないんじゃ!」の図。この写真だけ見れば、完全にビジェガスさんは恐喝されている。目が泳ぎまくっている。違います。意外と仲はいいんです。

ワルテルさんが言うには、この犬を訓練してドッグショーに出し、評価をあげたところで種付け料でもうけようぜ!ガッハッハ!という計画である。見た目そのままの山師っぽいお人柄。そんなワルテルさんはなかなかのやり手で、ドッグショーで総合3位に入賞し、その日のうちに種付けの約束まで取り付けてしまう。

ところが当日、ボンボンは種付けに失敗してしまう。獣医からは、幼少期のトラウマか何かでうまくいかないと言われる。仕方ないのでビジェガスさんはしばらく職探しをし、ボンボンが立ち直るまでしばらく待とうということになる。その間はワルテルがボンボンを預かってくれるという。

だがしかし、このワルテルが犬を逃がしてしまう。ここらへん故意か偶然かよくわからないのですが。ボンボンが役立たずなので逃がしたようにも思える。探しに行っている様子もない。で、逃げたことをビジェガスさんにきちんと伝えない。悪い人である。ビジェガスがワルテルの家まで訪ねていって、ワルテルの奥さんから伝えられる。

でも、ビジェガスさんは情が深いのか、逃げたというボンボンを探しに行きます。もう種付けは期待できないしエサ代がかかるだけで、失業中のビジェガスにとってはいいことは何もないのだけど。お金だけの面でみれば、ボンボンは無価値どころかマイナスである。それでも探しに行く。そこがこの人のすごくいいところですね。

で、あっちで聞いてみろだとか、レンガ工場のほうにいたぞとか、いろいろ探し回ってようやく感動の再会である。ハリウッド映画や日本映画だと、やっと会えた犬と抱き合い、犬は飼い主の顔を「ご主人ー!」とペロペロ舐めて、飼い主は「やめろよー!」と言いながらも喜ぶ。そんなシーンが目に浮かぶ。

だけどアルゼンチン映画だからか、ちょっとそこらへんが違う。やっとのことでビジェガスがボンボンをレンガ工場で見つけ出します。ようやく感動の再会と思いきや、ボンボンは他の犬と交尾に夢中。「ご主人ー!」で顔ペロペロどころか「ちょっと今、大事なところだから!あっち行ってて!」である。ズコーってなった。

まあ、これで種付け料で暮らしていけるのだからハッピーエンドではあるけど。やはりあまり知らない国の映画は興味深いですね。

そういえば、ちょっとした文化の差も面白かった。人の家を訪ねたときにノックではなく、拍手を四回ぐらいして人を呼び出すんですね。呼び鈴をつけるとか、そういうことはしないのかなあ。


 
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