09
2013

映画「金環蝕」

金環蝕
1975年 / 日本 / 監督:山本薩夫 / 政治、社会


全員悪人、肉食のおじさまたちが大活躍。
【あらすじ】
1965年の九頭竜ダム汚職事件をモデルに作られた作品。「全員悪人」はアウトレイジのキャッチコピーですが、この映画、まさに全員悪人。政治版アウトレイジ。



【感想】
巨額公共工事の入札をめぐって、政治家、ゼネコン、金貸したちのだましあい。汚職、談合当たり前、弱みになりそうな奴は殺します。「金、女、権力」以外の話は出てこないよ。ほんとだよ。愛人がいるのは当然で、何人いるかが問題である。神谷直吉(三国連太郎)の愛人は24人て。一クラスできる。愛人学級ができる。

ポスターもどぎついよ。小さい子が泣き出す。

この時代は、前売券700円なんだなあ。

海千山千ともいえる登場人物たちの駆け引きは見応えがある。悪い奴しか出てこないんだけどそれぞれ魅力的。しかし、昔の政治家ってのはこんなに悪かったのかしらとある意味感心してしまう。でも悪い人って仕事できそうなんだよねえ。今の政治家は総じて淡白に見える。角を矯めて牛を殺すという言葉があるが、どうもそんな印象を受ける。清廉潔白ではあるが能力もあまりないという。そんなことをいうと汚職を奨励しているようですが、そういうことではないです。潔白万歳。

本当に欲望一直線の人が多いので、現代人とは違う人種を見ているような気分になる。それは彼らが戦中を生き抜いてきたこととも関連しているのだろうか。貧しかった戦後を乗り越えた反動からの金、女、権力への執着というか。あまりに単純化しすぎかもしれないけど。

とにかくみんながみんな、金、女、権力大好きっ子なんだよねえ。もう共感できるレベルをはるかに超えてしまっている。これはわたしが清廉ということではまったくなくて、むしろその魅力を味わったことがないからかもしれない。それと、不況とはいえ満たされた時代にいるからだろうか。物欲が乏しいといわれる若い世代などはこの作品をどう観るのだろう。

宇野重吉、西村晃、仲代達矢、三国連太郎が特に良かったですね。もう、みんな脂ぎり方がすごい! 登場人物を煮込めば濃厚ギトギトラーメンのダシがとれそう。誰が喜ぶのか。登場人物たちのアクの強さに、あてられたようになった。

また、原作の石川達三の「金環蝕」という題名がすばらしい。金環触(金環日食)とは、月の外側に太陽がはみ出して細い光輪状に見える現象です。周りは美しく光り輝いているが中身は真っ黒なのだ。

左翼思想を持ち日本共産党に入党した山本薩夫監督がこういった傑作を生み出したということも興味深い。


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