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2013

映画「ディファイアンス」

ディファイアンス
2008年 / アメリカ / 監督:エドワード・ズウィック / 戦争


一枚岩という幻想、リーダーの苦悩。
【あらすじ】
第二次大戦時、ナチスドイツに占拠されたベラルーシ。森に逃げ込んだユダヤ人たちはビエルスキ兄弟をリーダーとして集落を作る。みんなわがままばかり言うよ。

【感想】ネタばれしてません。
最近かなりご活躍のダニエル・クレイグさん主演の映画。どこか寂しげで地味な印象なんだけど、でもこの人の出る映画は不思議と面白いところがある。

第二次大戦下のユダヤ人を描いたものはホロコーストを扱ったものが多い。この映画は森に逃げ込み、共同体を築いてナチスドイツに抵抗したユダヤ人たちの生活に焦点を当てた珍しい作品です。「ディファイアンス」とは「果敢な抵抗」という意味でした。

で、森に逃げこんで村を作ったのはいいが、とにかく揉める。リーダーであるトゥビィア・ビエルスキ(ダニエル・クレイグ)は、戦争が起きるまでは奥さんの実家の商売を手伝っていたふつうの人なんですよね。

そんなふつうの人である彼が多数のユダヤ人をどうにかこうにかまとめて共同体を成立させたというのはすごいことです。でも共同体のメンバーは好き勝手を言う。「ご飯がないのはリーダーのせい」「リーダーだけ女を囲って食料も多く取ってんじゃないか」「食料担当班は任務が大変なのだ。だから俺たちは好きなだけメシを食う!」などなど。みんな文句言いすぎである。クレイグさんをいじめるな。

よくまとまった組織をたとえて「一枚岩」なんて言いますが、そんなのは幻想でしかないんじゃないだろうか。どんな組織も中ではなにかしら揉めている。だが「結束できる」という幻想を共有することで組織は継続できるのかもしれない。なんだか映画とはあまり関係ないことを書いておる。仕事の悩みを持ち込んだ。

ナチスドイツに対し徹底抗戦の姿勢をとる弟のズシュ(リーヴ・シュレイバー)は、とにかく逃げ延びることを最優先に考える兄トゥヴィアと方針が対立し、ソ連軍のもとに走る。兄弟ですら方針が違うんだから。

それでもどうにか組織をまとめてきたトゥヴィアだったがドイツ軍の爆撃を受けて、集落を移す決断をする。数百人を連れて森から出たものの目の前には広大な湿地が広がっていた。森がなければ身を隠す場所がない。だが、戻ればドイツ軍に捕まるかもしれない。しかし、このまま湿地を進めば空爆を受ける恐れがある。湿地を渡りきってもドイツ軍が待っている可能性もある。そもそも湿地を老人や子どもが渡れるかもわからない。

みんなが「どうするんだ、トゥヴィア!」と決断を求めてくる。絶望したトゥヴィアは頭を抱えてしゃがみこんでしまう。間違った決断をすれば何百人もの命が失われる。限られた状況の中で正しい情報などなく、それでも決断をしなければならない。責任感が強ければ強いほど苦しむのだろう。

そのとき、今まで頼りなかった三男アザエル(ジェイミー・ベル)が湿地を渡るためにベルトを集めてロープを作れ、と具体的な指示を出した。みな、アザエルの強い言葉に導かれて湿地を渡る準備を始める。

ある問題について責任をとれる状況ではないものの、とにかく決断を下さなければならないときがあって、それにはリーダーの迷いない態度と具体的な指示が必要なのだろう。アザエルに支えられトゥヴィアも気力を取り戻し、ユダヤ人たちは湿地を渡りだす。組織について考えさせられる内容でした。

この湿地の場面は、聖書の出エジプト記との対比なのだろうか。エジプト軍に追われたモーゼは海を割って奇跡を起こすが、トゥヴィアたちは団結によって湿地を渡って新天地を目指す。

ちょっと疑問なのは史実では次男であるはずのアザエルが三男になっていたり、実際にはなかったドイツ軍戦車隊との交戦が描かれていたり、実話を元にしているとしてもやや脚色が強いかなとも思いました。爽快感とかそういうのはない映画です。地味で暗い映画を観たい気分のときはいかがでしょうか。そんな気分のときがあるのか。

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Tag:戦争

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