01
2013

映画「感染列島」

感染列島
2009年 / 日本 / 監督:瀬々敬久 / パニック、恋愛

怒涛の詰め込みパニック恋愛映画。この料理、誰が食べるんだ。
【あらすじ】
短期間で死に至る謎の奇病が日本で大流行。オロオロします。

【感想】ネタバレしてます。
久しぶりに邦画を観ました。この映画、出演者がすごい。主役級の人がどんどん出てきます。そして死ぬ。

冒頭に佐藤浩市さんが医者役で出てくる。そーかー、佐藤浩市が主役かあと思ったのも束の間、いきなり死んだ。浩市をこんな使い捨てにしていいのかと驚いた。心配無用なのだった。以降も間髪入れずに死んでく。

致死率の高いウィルスが日本中を襲ってパニックという、ハリウッドが好きそうな設定なのだけど、どうも邦画ってスケールの大きな物語の扱いが苦手だ。日本の安全さゆえに、この作品をリアルに受け止められない部分もある。しかし、この映画、パニック映画の体裁はとっているが結局は檀れいと妻夫木聡の恋愛物なんだよねえ。だから面倒くさいことは言わなくていいか。わたしは檀れいさんが観られただけで満足。

で、役者がとにかくたくさん出てくる。そのせいか、それぞれのエピソードがちょっと薄い感じがした。

国仲涼子さんは責任感の強い看護師役。そして、ダンナ役が爆笑問題の田中裕二さん。爆笑問題のラジオを聴いたり、テレビで見かけることが多いからか、ふだんとのギャップに笑ってしまった。真面目な映画なのに「この二人が夫婦って‥‥、ないないない!」と思った。

田中さんの演技は自然だけど「いったい、この二人はどこで出会ったんだ!なぜ国仲涼子は他に相手がいなかったのか!いるだろー、そこら中にいるだろー」と思ってしまい集中できない。美女と野獣すぎる。

で、国仲さんは病院が忙しくて家に帰れないのだけど、やがてウィルスに感染して倒れてしまう。妻から一向にメールの返信がないのを心配した田中さんは、娘を連れて病院の玄関まで行った。中に電話を繋いでもらうが国仲さんはちょうど息をひきとったところだった。それを娘に伝えられず立ち尽くす田中さん。

そこへ、死んだはずの妻から娘宛に一通のメールが。ママは元気だから今度一緒に雪合戦をやろうね、みたいな内容だった。国仲さんがPHSを握り締めたまま死んでいたのを見て、妻夫木君が打ってあげたのだ。いや、これね、どうなんだ。国仲さんが死んだことを田中さんは知っているから「ああ、誰かが娘のために打ってくれたんだな」と感謝したけども、これを家で見たら「あ、忙しそうだけど元気なのね」と思ってしまわないか。大丈夫か、妻夫木君の暴走。

のちのち「あのメール、おまえかーい!」ってなるんじゃないか。それはそれで面白いけど。

カンニングの竹山さんも不遇のウィルス研究者役で出てました。ウィルス解析競争や研究者の功名心について問題提起する役柄のようでしたが、意外とおとなしく退場。どうせなら脱いだり暴れたりしてほしかった。

で、この正体不明のウィルスが、どこだかの国から来た可能性があるので、妻夫木君とウィルス研究者の藤さんが現地調査に行きます。妻夫木君は医者なのにパニックになってる現場をほっぽりだしていいんだろうか。いいんです!もう好き勝手に暴走すればいいじゃないか。

WHOの現地スタッフには、ソフトバンクのCMでお馴染みのダンテ・カーヴァーが。本当にいろんな人が出てるんだよねえ。そんで犬も出てくるのだ。白い犬だったら完全にソフトバンクのCMなのに。おしい。

藤さんが野良犬を抱きかかえてダンテに怒られる。「あんた、その犬、感染してたらどうすんだ!」ってなことをものすごい勢いで言われる。

でも、藤さんは気にしない。「ウィルスってそんな悪い奴かなあ。ウィルスとだって共存できると思うよ~」みたいな。のんきである。人間がジャングルを切り開き、好き勝手に自然破壊をした挙句、未知のウィルスに感染してしまうということはあるだろう。このウィルスって、たぶんエボラウィルスをモデルにしてるんだろうけど。そりゃ、藤さんの言うことはわかる。

ただ、日本中で何千万人が死ぬかもれないという状況で、その姿勢はウィルスの専門家として正しいものなのか。そもそもこのウィルスは、現地の一人の日本人医師が日本へ持ち込んだことで爆発的に拡がったのに。

ここで藤が「ウィルスの正体を突き止めに行ったら、僕も感染して戻ってきましたー!」って、なるとなあ。バカヤロウってなるよ。しかも理由が「野良犬を抱きしめて感染。だってかわいかったんだもの」とかだと救いようがない。マスクすらしてないし。もうすでに感染者が溢れてるから、一人増えたぐらい気にすんなってことか。結局、この犬からは感染しないけど。

荒廃した街のニュース映像は流れるが、それがどういう事態をもたらすか、暴動やパニックは発生するのか、インフラや食料の問題などはどうなるかなどは描かれない。トリアージ(治療優先度)の問題もさらっと触れるに留まっている。やはり恋愛と死をメインにしたかったからか、いろんな要素を詰め込みすぎて消化しづらい。

そんで泣かせ演出が少しくどい。雨か雪が降って悲しい音楽が流れると、だいたい誰か死んでいる。病院内は医療器具が足りないし大変な状況になっている。瀕死の子どもに付けている機械を、まだ助かる見込みのある大人に付け替えるシーンがある。看護師は抵抗するものの、檀れいは強行して、子どもは死んでしまい大人は助かる。

これは仕方のないことだけど、子どもを殺したことに自責の念を感じている檀れいを、妻夫木君が抱きしめる場面がある。混乱した現場で医師がとった苦渋の決断が恋愛の小道具にしかなっていない。まあ、これ恋愛映画だけどさあ。

豪華キャスト!ウィルスの恐怖!パニック!恋愛!死!感動!こんだけヒット要素を詰め込んでヒットしないわけがないんだ!という、製作側の強い意思が伝わってきた。しかし、こちらとしては、寿司と焼肉とケーキを混ぜたら、最終的には人間が食べられない物ができましたという感じなのだ。

ただ、邦画ってあんまりスケールの大きな物に挑戦しないんですよね。そこはハリウッドにお任せってことになってるから。そういう挑戦の心意気は買いたい。いつか邦画でアウトブレイクを越えるパニック映画を観てみたい。


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Tag:パニック 恋愛

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