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2013

映画「小さな村の小さなダンサー」

小さな村の小さなダンサー
2009年 / オーストラリア / 監督:ブルース・ベレスフォード / 実在の人物をもとにした映画


水、安全、自由。
【あらすじ】
「汚い資本主義の国」と教えられたアメリカにバレエ留学したけど、なんだか思ったより居心地がいいような?

【感想】
水と安全はタダという言葉がありますが、こういった映画を観ると日本では自由や人権もタダだと気づかされる。大気汚染でまともな空気が吸えなくなって、はじめて空気について考える。自由や人権もそうなのだろう。

オーストラリアでベストセラーとなった、リー・ツンシンの自伝を映画化したそうです。原作未読。毛沢東政権下、文化大革命の時代。中国では、全国から身体能力の高い少年少女を集め、スポーツのエリート教育を施していた。主人公リー・ツンシン(ツァオ・チー)も、両親の元を離れて北京の舞踏学校に入学する。舞踏学校での努力が実り、やがてアメリカにバレエ留学をすることになった。

左は、留学先のバレエ団の主任ベン(ブルース・グリーンウッド)。アメリカ留学中、彼の家にホームステイすることになる。ところでこの人、たぶんゲイなんですよね。随所にゲイっぽい仕草を入れてくる。オネエ言葉などで過剰に演じられるゲイがありますが、ベンはごく自然。ナチュラルゲイである。そんな言葉あるのか。

この映画は真面目な作品だし、ベンがゲイだと観客の視点がぶれるからなのか、ゲイであるとはっきり示される場面はない。ただ、この映画はリー・ツンシンの自伝を元にしてるので、彼がゲイであるということは残しておかねばならず、そのためにとてもさりげないゲイになってしまったのだろうか。ずいぶんどうでもいいことを長々書いたよ。

右の写真、これは誰だかおわかりでしょうか。日本では「ツイン・ピークス」で一躍有名になったカイル・マクラクランです。老けたわー。時代の流れを感じる。弁護士役で活躍。

文革時代の教育などにも、さらっと触れていて面白い。資本主義を暗黒と評し、中国こそがもっとも進んだ国家であると教える。今の北朝鮮みたいだ。情報を統制し、自国こそがもっとも進んでいるなどということは、進んでいる国はまずやらないだろう。こういうことを国がやりだしたら、おや、ちょっと危ないぞと疑ったほうがいいのかもしれない。

リー・ツンシンがアメリカに亡命したとき、両親の元に共産党の人間が訪れる。おまえたちの子どもは反革命分子だと罵る。それを母親が追い返す場面は良かったですね。国が勝手に息子をとりあげておきながら、亡命した途端に反革命的だと罵り、世界中で公演する有名なダンサーに出世したら許すという掌返しぶり、勝手すぎるわ。わたしかと思った。

・題名について
「小さな村の小さなダンサー」の原題は「MAO’S LAST DANCER」(毛沢東の最後のダンサー)である。邦題は、イギリス映画「リトル・ダンサー」を真似てつけられている。間違えて借りてほしいのかなあ。そんなふうに借りてもらわなくても、この映画はとてもいい映画なのに残念です。

ちなみに「エルム街の悪夢」という作品のパロディで「エロム街の悪夢」というアダルトビデオがある。キャッチコピーは「もっと腰をフレディ」である。実にバカ。すばらしきバカ。もっとやってほしい。

バレエは観たことがないのですが、この映画に主演したバーミンガム・ロイヤル・バレエ団のツァオ・チーの動きはすばらしい。鍛え上げられた肉体の躍動はもちろん、バレエを知る人ならば、指先の動きや表情などの演技も楽しめるのではないでしょうか。題名以外はお薦めです。


※観た人用
長く会うことができなかった両親がリーに再会し、バレエを観る場面がある。両親は田舎暮らしで、バレエなんて観たことがないわけだから、審美眼も育ってないわけです。で、リーが演じていたのはパンツ一丁で激しく踊っている前衛的な舞台だった。

目の肥えた観客たちはリーの演技に拍手喝采なのだけど、リーのお父さんが「おまえ、なんで裸で踊ってんの?」というのには笑ってしまった。そりゃそーだよねー。もうあの場面は最高。
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