08
2013

映画「ミスター・ノーバディ」

ミスター・ノーバディ
2009年 / ベルギー、フランス、ドイツ、カナダ / 監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル / SF


今ここにいる自分は、大樹の一葉。
【あらすじ】
2092年、118歳のニモは記憶が混濁していた。催眠術によってみずからの過去をさかのぼっていきます。基本的にはいつの時代もイチャイチャしてます。モテヤガッテ!

【感想】ネタバレしてます。
これは映画史に残る作品かもしれません。それが面白いかというと、わたしにとってはそうではないのだけども。シュレディンガーの猫やバタフライ効果など、SFでしばしば取り上げられる題材をからめつつ、主人公が体験した並行世界をたどる。とはいえ、衒学的にならず科学知識がなくても楽しめるのがいいですね。

ただ、130分を越える作品なので、わたしはちょっと参ってしまった。随所に面白そうな映像が差し込まれたり、クスッとさせる世界観はいいんですけどね。中国の人件費が高騰して火星で自転車を作ってたり、臓器移植のためにマイ豚(移植に適合しやすい遺伝子を持つ)を飼うのがブームとか、細かい部分がいい。うさんくさい未来好きにはたまらん。バンザーイ!

118歳のニモ・ノーバディ(ジャレッド・レト)が過去を回想していきます。ジャレッド・レトは武器商人がクレイジーに武器を売りまくる映画「ロード・オブ・ウォー」で、武器商人の弟役を演じています。いい映画ばかり出てるなあ。当たってるのかは知らんけど。

ニモが9歳のとき、両親の離婚という人生の大きな分岐点が訪れる。父親についていくか、母親についていくか、両方の選択肢が存在する。

ニモは118歳になるまで、いろんな運命をたどる可能性があった。彼の現在は、言うなれば大樹の一葉にすぎない。その葉にたどりつくまで、さまざまな分岐を経た後に、彼は2092年にいる。そして2092年にいながら同時に、彼が直接体験することがなかった違う枝にいる彼、並行世界の彼を体感している。

というですね、「ちょっと何言ってんだかわかんないですけど」と言われそうだよ‥‥。人生の分岐点においてさまざまな決断がありますが、その体験することがなかった決断についても体験していく感じでしょうか。

構造の複雑さに目を奪われがちなものの、監督の意思というのはごくシンプルに思える。彼が結婚することになる三人の女性、右からアンナ、エリース、ジーン。

アンナと付き合う未来は、彼はアルバイトなのかホームレスなのか、とても貧しい暮らしをしている。しかし、アンナとは愛し合う。エリースと結婚する未来は、子宝に恵まれ、収入もごく普通にある。だが、エリースは元彼のことが忘れられず鬱病気味である。

ジーンと結婚した未来は、ジーンはニモを愛しているが彼は別の女性を愛している。子どもたちもいて豪邸に住んでいるものの、明らかに彼は満ち足りていない。118歳のニモが死ぬ間際、アンナの名を口にする。監督の中にある正解とは、貧しくとも最愛の女性と愛し合うことなのかもしれない。

ニモの母親が言う「人生とは思ったようにはいかないものよ」というセリフは、平凡だが印象的だった。

監督はお茶目な人なのか、天使役で自分の娘を出しちゃうんですね。女優じゃないのに。これだけ美しいのだから仕方ないのかも。「どや!ウチの娘キレイだろ、どや!」という監督の声が大ボリュームで聞こえてきたよ。

※以降、ラストシーンに触れています。
で、この映画ですがラストが入り組んでいる。9歳のニモが両親のどちらについていくか、必死に悩んだ末に彼が考え出した妄想によって、2092年の彼も含めた未来(大樹のすべて)が構成されていたというオチになっている。ニモの9歳以降の話は、彼がこれから体験するであろうまだ体験していないことの話となる。

わたしたちの未来は、わたしたちの意志によって、ときにはまったく偶然によって決定される。そのすべては起こりうることであり、起こりうることではなかった。監督はアンナとの未来を一応の正解と提示しつつも、その他の未来も否定しうるものでもないと言っているように感じる。人生で体験したあらゆることを味わえと示唆しているように感じたが、わたしには確たる答えは見えなかった。

監督へのインタビューから引用します。
――主人公のニモは場面、場面で決断をしていくわけですが、その選択について監督自身はどのように決められたのでしょう?

「自分自身、なぜその道を選んだのかわかりません。欲望などが働いていたと思いますが説明がつきません。ニモは女性を愛するわけですが、なぜこの人なのか?も説明がつきません。自由意志と言いますが、これは矛盾した言葉であり、意志を決める時に自由はないのです。衝動で決めていると思いますね。すなわちコントロールを失うということをコントロールする、ということです」
Walkerplus

監督の言葉がすんなりと受けとめられる人は、この映画を観る必要がないのかもしれません。わたしには難解でした。なにせ、人がいっぱい死んで、悪いやつをぶっ飛ばすのしか観ないからさあ!たまに理解できない映画を観たほうがいいのかもしれませんね。誰かにわかりやすく解説してほしいよ‥‥。


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