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旧作映画の感想、ネタバレしてます。
13
2013

バッド・ルーテナント

The Bad Lieutenant: Port of call - New Orleans / 2009年 / アメリカ / 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク / 犯罪、コメディ
人間万事塞翁が馬
 【あらすじ】
モラルはないが腕はある、ちょっと問題のあるテレンス刑事(ニコラス・ケイジ、右から2人目)。麻薬で頭をスッキリさせて犯罪捜査に突撃だー!
麻薬も犯罪ですけども‥‥。



【感想】
ドラッグ、ギャンブル、愛人に溺れるテレンス刑事。荒んじゃっていろいろ大変。

テレンス刑事は基本的に麻薬をやりながら行動します。ラリッているときのハイテンションな演技がものすごい。はしゃぎっぷりが、相当ヤバイ感じである。ワニやイグアナなどの幻覚が見えます。なんで爬虫類なんだろう。メイキングで監督がイグアナに噛まれるんですよね。そこもちょっと笑ってしまった。変な映画だよ。

そして、テレンス刑事は悪行三昧。麻薬をやるのはもちろん、一般人を恐喝して麻薬を奪う、警察の証拠品置き場からも盗む、スポーツ選手を脅して違法賭博、借りた金は返さない、老人ホームのおばあちゃんを窒息寸前にして情報を聞き出す、知り合いの交通違反を揉み消させようとする、殺人犯に捜査情報を漏らしてお友達に、などなど思いついただけでも犯罪てんこ盛り。犯罪者が警察に勤めているだけのように見える。

ただ、テレンスにも同情する点がある。過去にハリケーンカトリーナの被害によって留置場が浸水、溺れそうな犯罪者を助けるため、飛び降りたときに腰を痛めた。そのため痛み止めの薬が手放せなくなったが、薬はあまり効かず、つい麻薬に手を出したら「こりゃたまらん!」ってんで、どっぷりはまられたご様子。


とにかくニコラス・ケイジが薬をやっている映画なのですよ。この場面もねえ、犯人の家に突入したところなんです。で、左の人が犯人なのだけど、犯人の横に座り「俺は今からマリファナをやります」って、突然吸い出す。犯人が「え?あんた刑事だろ?何言ってんだ!?」ってなります。そりゃそうだよ。とにかく滅茶苦茶である。


ニコラスの彼女(エヴァ・メンデス、写真右)も麻薬をやっている。エヴァ・メンデスといえばヤンママ感がすごい女優ですが、ここでも滲み出てますねえ。好き。彼女が麻薬をやめる会に出ると言うと、ニコラスがちょっとさびしそうな顔をするんですよね。「俺を置いて、まともな方向に行っちゃうのか」という。クズですなあ。クズの哀愁が滲み出ていました。

これ、メイキングがとても面白かった。監督が言うには、この映画は麻薬が主題ではないとのこと。彼が善か悪かも重要ではない。善や悪というレッテルを笑い飛ばすようなところがありました。

常識では解決不可能と思われた難事件をバッド・ルーテナント(悪徳警部補)であるニコラス・ケイジが、その不道徳さゆえに解決してしまうという奇妙さ。奇縁、巡りあわせ、因果とも言うべきか、常識ではたどりつかないはずの奇妙な運命に導かれ、事件は解決してしまう。その不思議さが面白い。

善行が必ずしも良い結果をもたらさず、悪行も必ずしも悪い結果をもたらさない。人生にはそういうこともある。彼が麻薬にはまるきっかけも、犯罪者を助けようと飛び降りた善行によって腰を怪我してしまい、痛みをごまかすためにマリファナをやり始めたのが原因。いいことをした結果、悪の道にずるずる行ってしまった。それも結果として難事件の解決に一役買うことになる。

あまりお薦めはしないのですが、すごく面白かったです。普通じゃない映画。あとニコラス・ケイジのラリッている様が、とても演技とは思えず真に迫っている。実体験に基づいているのでは。さすがです。

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