10
2013

映画「黒の超特急」

黒の超特急
1964年 / 日本 / 監督:増村保造 / 社会派サスペンス


「俺にもよこせ!」の大合唱。
【あらすじ】
新幹線建設予定地をめぐる金と欲の物語。「僕はただ、お金が欲しかった。それだけです‥‥」

【感想】
バブル崩壊以降の傾向かもしれませんが、現代人は昔ほどお金に対して貪欲ではなくなったように思う。お金に対して失望したのかもしれない。バブル期に、使いきれないほどのお金を手にした人も、そこそこ贅沢をした人も、結局お金だけでは幸せになれなかったと理解したのではないか。

で、この映画に出てくる人は、みんなガツガツしている。お金に失望しているどころか、お金が欲しくてたまらない。「お金ちょーだい!」の大合唱である。「わしは億という金をつかんで大企業と渡り合う!」とか、野望があっていいですね。

岡山の田舎で小さな不動産屋を営む桔梗(田宮二郎)、お金のために愛人契約を結ぶ女(藤由紀子)、金のためなら殺人もいとわない中江(加東大介)。みなギラついている。ちなみにこの映画、善人は一人も出ません。

お金に対して貪欲というのは、ふつうならば醜く映るはずである。それが不思議と誰にも醜さを感じなかった。まあ、そりゃご覧のように主人公の桔梗を演じる田宮二郎は男前だし、のちに田宮の妻となった藤由紀子も美しい。だがですよ、笑うセールスマン喪黒福造を実写で演じるならばこの人しかいない、という加東大介さえも不愉快な感じはしない。

ギラついた金への情熱はあるが、本当に真っ直ぐなんですよね。まあ、強請ってたかっての犯罪者ですけど。取り澄ました感じがないのがいいのかな。家庭を第一に考えて仕事も育児もバランス良くとか、住宅ローンを35年で組んで月々の返済はこれぐらいとか、堅実な銘柄に投資して株主優待を受けるとか、そういうんじゃないんじゃよ!ドカンと一発勝負して、どうじゃあ!みたいな意気込みといいますかね。野望ですよ、野望!いまどき「野望」なんて口にするのは、ゲームで「信長の野望」をやるときぐらいじゃんか。そんなんじゃダメである。

で、野望を持った桔梗さんは株で何千万円も損をする。でも、全然めげないんですよね。次こそは稼ぐ!みたいなね。その反省のなさってどうなのと思うけど。この映画は1964年公開です。1960年代といえば、敗戦からようやく立ち直り、東京オリンピックも成功させ、どんどん行くぜという勢いを感じさせる。時代の勢いが強く反映された作品なのでしょう。

中江を演じる加東大介が特にすばらしいですね。利用価値がなくなった人間への素っ気無い感じとか、桔梗との腹の探りあいとか。悪役が光ってる映画は面白いですね。あれ、でも全員悪役だった気もする。


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