03
2014

クロッシング・デイ

What Doesn't Kill You / 2008年 / アメリカ / 監督:ブライアン・グッドマン / ドラマ
更生できる人、できない人。
【あらすじ】
サウスボストンのストリートで兄弟のように生きてきたブライアン(マーク・ラファロ)とポーリー(イーサン・ホーク)。犯罪を繰り返す人生から抜け出せるのか。 


【感想】
DVDのジャケットには銃を持つ主人公たちと、特殊部隊が車を撃っている派手な場面が映っている。映画にはそんな場面はいっさい出てこないのだった。またか、このパターン。もっと地味な映画で、貧困から抜け出せずに犯罪を繰り返してしまう人々を描いております。


主人公のブライアン(マーク・ラファロ、左)と、街を仕切るボス(ブライアン・グッドマン、右)。マーク・ラファロはアベンジャーズでハルクを演じてた人ですね。悪役をやっててもちょっと知的に見える。右側のブライアン・グッドマンは迫力がありますね。本当に悪い人という。この人の半生を基にこの映画は作られている。だから、主人公の名前がブライアンなのだ。


罪を犯した人を悪人と断ずるのはたやすいものの、社会に再び出てきたとき、やり直す手段がなければ、また同じことをやってしまう。映画で描かれるこの地域は、あまりにも椅子の数が少ない社会に見える。

刑務所から出た二人は現金輸送車を襲うことを計画する。しかし、ブライアンには家族がいるので計画の参加をためらう。ブライアンは家族思いなんですよね。子供も奥さんも大事にしようとする。家族の存在が計画を思いとどまらせるというと、何かすごくいい映画のような気もする。

だけど、違和感があったのは、この人は他人に対しては簡単に暴力を振るうし、現金輸送車を襲うことに関してもなんとも思ってない。ただ、捕まるリスクを考えると、息子に会えなくなってしまうのでやらないというだけなのだ。強盗が悪いことだからやめようというわけではないんですよね。

善悪の価値観において、基本的な部分が欠落しているように感じる。身内や仲間は守るべきものだが、世間に対しては何をしてもいいというか。ただ、家族を養うためという動機があるから、犯罪に走ってしまうのも理解できる。一般人の価値観と離れているかというと、そんな違うものじゃないんだという。「悪人」というのは「悪人」を遠ざけておきたい人たちが引く境界線であって、本当は善も悪もなくて、とても曖昧なものなのかもしれない。

原題の「What Doesn't Kill You」はニーチェの言葉を省略したもの。元は「What doesn't kill you makes you stronger.」(あなたを殺さなかったものがあなたを強くする)苦難が人を強くするということでしょうか。

面白いセリフも多いんですよね。刑務所にいたブライアンが妻への手紙で、受刑者(恐らくは自分も含めて)を次のように表している。「ここにいる人たちは、入れ墨や筋肉で弱さを隠している」。なかなかいいことを言うのです。

それとこれとは別で、悪いことはするぜという。なぜなんだ。現金輸送車を襲う計画も立てちゃうぜという。ちょっと反省しているんだか、してないんだか、わからない人である。犯罪の繰り返しから抜け出そうにも抜け出せない葛藤を描いており、地味ながら良かったですね。イーサン・ホークは悪い役が似合うなあ。ジャケットとは違って、落ち着いた映画ですよ。

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