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2014

映画「宇宙人王さんとの遭遇」

宇宙人王さんとの遭遇
L'arrivo Di Wang / 2011年 / イタリア / 監督:アントニオ・マネッティ、マルコ・マネッティ / SF、コメディ
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エロいと言った人が、エ~ロい!
【あらすじ】
イタリアに突如現れた謎の宇宙人。自らを「王(ワン)」と名乗り、流暢な中国語を話します。「平和的な文化交流のためにやってきました」という紳士的態度の王さん。怪しいので拷問します。


【感想】
ある日、中国語通訳のガイア(フランチェスカ・クティカ)の元に、緊急の仕事を頼みたいという電話がかかってくる。高額の報酬につられ、通訳を引き受けたものの、仕事場所は秘密ということで車に乗せられた後に目隠しをされる。

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着いた先は、打ちっぱなしのコンクリートで何もない建物。最初は暗闇の中で通訳をさせられるが、明かりを点けてみるとこんな人が座ってました。人かな。かわいいような、気持ち悪いような、ギリギリのラインにおりますね。低予算映画だと思いますが、王さんはよくできています。

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とても穏やかで紳士的な口調の宇宙人。「名前は別にありますが、あなたたちでは発音が難しいので王(ワン)と呼んでください」

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仕事の依頼者であるキュルティ(エンニオ・ファンタスティキーニ)。キュルティは政府の人間らしいが素性は明かされない。キュルティって、かわいい名前だなあ。アニメキャラみたい。オッサンですけど。拷問するけど。

突然現れた王さんの目的を執拗に追求するキュルティ。結論ありきの尋問をしていて、王さんに「地球侵略に来た」と言わせたくて仕方がない。王さんは、友好的な態度で「文化交流のためにきました」などと言うのだけど、答えが気に入らないので電気ショックにかけます。オイ。

中国語通訳のガイアはキュルティの強硬な態度が許せなくて「アムネスティ(人権保護を唱えるNGO)に訴える!」と怒るのだが、キュルティからは「王さんは宇宙人だから適用外でーす。残念でしたー」とあしらわれてしまう。キュルティ、悪いやつだなー。

王さんは、地球の中で中国語を話す人が最も多いという理由で中国語を覚えてきたという。じゃあ、それなら中国行けばいいのになんでイタリアに。中国語を話せるほど地球のことをリサーチしているのに、イタリアに来たという杜撰さが気になるが仕方ない。イタリア映画だし。大人の事情が垣間見えますなあ。

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映画の大部分は、密室での三人のやりとりです。コメディというジャンル付けをしましたが、ゲラゲラ笑えるコメディではないですね。ニヤッとするようなブラック・コメディですね。

王さんが中国語を話すという設定の面白さだけで作られた映画に思える。イタリア人は中国人に対してどんな感情を持っているのだろう。軍拡や海洋進出についての不信感があるのだろうか。この映画の奇妙な面白さというか、これを中国への不信感を表したというと、制作者は否定するだろう。対象は中国ではなく、未知の者や不快感を覚える者に対して、わたしたちがどういった反応を取るか描いたと答えるかもしれない。

エロいと言ったヤツがエロい作戦である。「中国への不信感? 全然そんなこと意図して作ってないのに。まさか、あなたはそんなふうに考えているんですか?」という。いや、本気で思ってないにしろ、意図しているように見せてるだろうよ。それを指摘した人間が損をする作りに感じる。あからさまな不信感の表明というのではなく、観ようによってはそう見えないこともないという、本当に微妙な線なんですよね。

じゃあ、監督が中国への不信感を本当に持っているかというと、そうは見えないし、政治的主張も見えない。持っていると思わせるプロレス的なやり方というか。世間がイメージする中国への不信感をうまく利用している。「中国への不信感を表した映画だ」という感想を言わせようという、監督の作戦にも見える。

SFとしては穴が多い(なぜ、あれを最初から組み立ててこなかったとか)のだけど、これは中国語を話す宇宙人という設定の面白さで作られているから、SFとして穴があるというのはいいでしょう。宇宙人が来たのが日本という設定でリメイクすると面白いかもしれませんね。間違いなく揉める。ケンカしだすのでやめとこ。

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