05
2014

ぼくは怖くない

Io non ho paura / 2003年 / イタリア、スペイン、イギリス / 監督:ガブリエーレ・サルヴァトーレス / サスペンス
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黄金色の麦畑と少年の決意。
【あらすじ】
廃屋の屋根に穴が開いているのを見つけた少年ミケーレ。中を覗くと一人の少年が監禁されていた。あれー、こんなところで何やってんの~? って、暢気だね、オイ。



【感想】
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子供から見た世界の描き方、イタリアの景色が本当にすばらしい映画でした。監禁されている子供を見つけてしまうという、かなり緊迫した話になるはずが、意外にも緊迫感がない。どこか現実離れすらしている。それは子供ならではの世界の捉え方が大きく影響しているように思えた。

ミケーレ(ジョゼッペ・クリスティアーノ)が遊びの最中に見つけた廃屋。屋根には穴が開いており、中には鎖に繋がれた子供がいた。

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ふつう、子供が監禁されているとなったら大騒ぎしそうなんだけどミケーレは騒がない。監禁されているフィリッポ(マッティーア・ディ・ピエッロ)も自分が監禁されているという現実がわかっていないのか、最初はミケーレを守護天使と思い込んで食べ物をせがむ。

ミケーレにしてみれば新しい友達が増えたぐらいの感覚で、パンを差し入れたり、散歩に連れ出したりする。フィリッポにしても、ミケーレに穴から出してもらいながら、また穴に戻るんですよね。逃げるという選択肢もあるはずなのに。

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事の重大さがまるでわかっておらず、重大なことが起きているのに無意識に目をそらすことは子供にはよくありそう。子供の頃の感覚を忘れずに再現できているのがすごいですね。一歩間違えれば、現実感がないとか、ありえないという批判が出そうですが、実に自然に子供たちの世界に入り込めました。アホなんだよなあ。自然なアホというか。アホさに共感してしまう。

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一面に広がる麦畑の美しさ。空の広さ、なにせ建物がほとんどないのだ。郷愁を呼び起こす弦楽器の音も良い。

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妹との距離感もほど良い。友達といるときはちょっと邪険に扱ったりもするけど、実は気にかけている。

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だるまさんが転んだで盛り上がる子供たち。なぜ、片足立ちとか、無意味に片手を上げるとか、余計なことをやりたがるのか。この無駄さ。好き。

そして、少し荒っぽくて頼もしい父親。ミケーレは両親のことが本当に好きなんですね。

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「ぼくは怖くない」というタイトルはとても良いと思います。本当に怖くない人は、あらためて「怖くない」と主張することはない。で、怖いというものには対象がある。親だったり、死だったり、お化けだったり。

ミケーレにとっての恐怖というのは、大好きな両親、特に父親がフィリッポの誘拐に関わっていることである。父親が、自分と同い年の子供を誘拐して身代金を要求している事実を受け入れがたい。父親が大好きなミケーレにとって目を背けたいことだからこそ、現実感をもって受け止められない。だから、ミケーレは監禁されているフィリッポと接しても、どこか暢気なのだろう。廃屋からの帰り道、両手離しで自転車をこいだり、明らかに浮かれている。もう、おまえ、本当はそんな場合じゃないのにー。ご機嫌だな!

だが、誘拐犯たちの話を盗み聞きしているうちに、その暢気さも失われてしまう。証拠隠滅のため、フィリッポの命が危険にさらされていることを知る。ミケーレはフィリッポの救出を決意する。ふだんは優しい父親が誘拐犯であるという、恐ろしい事実を受け止めて行動を起こすのだ。父親の偶像を壊して成長したミケーレにとって「ぼくは怖くない」というタイトルは、真実になったのだろう。

ミケーレはランニングにピチピチの半ズボンでウロウロしている。かなりピッチピチなんですよ。日本でも一昔前の子供ってああいうかっこうでしたね。わたしも童心を忘れぬよう、ランニングにピチピチの半ズボンでうろついて通報されようと思います。怖いものがたくさんあった子供時代を思い出させてくれる、どこか懐かしい映画でした。

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