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2014

映画「一枚のハガキ」

一枚のハガキ
2010年 / 日本 / 監督:新藤兼人 / 戦争

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硝煙弾雨がない場所での戦争。
【あらすじ】
クジ運の良さでたまたま生き残った松山。彼は戦友から一枚のハガキを託されていた。松山は、死んだ戦友の妻の元を訪れる。戦争映画ですが、なぜかちょっとふざけています。



【感想】
新藤兼人監督98歳のときの作品というので驚いた。がんばりますねえ。98歳になっても作品を撮ろうという気力がものすごい。さては、死ぬ気ないな、死ぬことを忘れたんじゃないかという。そんなこと思っていたら、遺作になってしまいましたね。戦争がテーマながら、どこかユーモラスな映画です。

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出征と、遺骨になって帰る場面の展開が早い。これわざとなんでしょうけども。「勝って~くるぞと勇ましく~♪」と、太鼓を叩きながら自宅前を行進して、すぐそのあとに遺骨を抱えた遺族が戻ってくるんですね。え、もう死んだの!? っていう。これが笑わせようとしているのかどうかがわからない。わたしは笑ってしまいましたが。

あまりに軽く人が死ぬ、まるで冗談のようですらあると皮肉ったのだろうか。ただ、監督は御年98歳ですので、こういう場面でふざけても誰も怒れないでしょう。ずるいなあ。やっぱり、これ、ふざけたでしょ。

友子(大竹しのぶ)の夫(六平直政)は、赴任地にたどり着く前に乗っていた船を敵潜水艦に沈められて戦死する。桐の箱には「英霊」とだけ書かれた紙切れが入っている。友子はもう自分の人生などとっくに諦めているんですね。夫の父親(柄本明)に言われるがまま、夫の弟と再婚する。ひどい話だが、こういうことはよくあったのだろう。弟もすぐに戦死。

弟の戦死後、義理の父親から「頼むから家に残ってくれ」と頭を下げられたときも、友子は抵抗せずに家に残る道を選ぶ。夫の両親は年老いており、食べていくには友子に働いてもらうしかないのだ。父親は頭を下げつつも、友子のほうを盗み見る。この柄本明の狡猾な表情がすごい。一見、哀れな弱者に見える人間の貪欲なしたたかさが恐ろしい。

夫の両親は、友子を「食い物にする」というのは言い過ぎかもしれないが、そういうふうに見えてしまう。ただ、悪人にならざるを得ない貧しさがある。

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そんで亡き戦友(六平)からハガキを託された松山(豊川悦司)である。クジの結果、前線ではなく掃除の担当になったことで無事に復員できた。しかし、帰ってみれば妻は実の父親と関係を持って逃げてしまい、近所の子供には「嫁を取られて」などとバカにされる。ふてくされて釣りをやっていたら、ハガキのことを思い出しました。戦友の妻の元を訪れることに。

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天秤棒を担ぐ様子は新藤兼人監督の1960年の作品「裸の島」の乙羽信子を思わせます。

トヨエツと大杉漣のケンカの場面もよくわからない。わざとバカバカしく撮っているのでしょうか。投げ飛ばされて宙を飛んだり。うーん、なにせ監督は98歳。わたしも98歳になったら、面白さがわかるのだろうか。他にもトヨエツが「まだ、戦争は終わってない!」と突然叫んだりする。なんだ急に、ってなるよ。

大竹しのぶも、突然かつ大げさ。悲劇も喜劇も芝居がかかっている。これは意図があって大げさにしているのだろうか。「裸の島」は淡々と撮られているから対照的ともいえる。

日本を捨ててブラジルに行こうとしていた友子と松山だが、村に残ることを決める。クジ運が良くてたまたま生き残った松山、家族をすべて失った友子。戦争を憎み、国を憎んだが、それでも日本を捨てないで村でやり直した二人。二人が耕した畑には、黄金色の稲穂が輝いていた。

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