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2014

映画「ヤング≒アダルト」

ヤング≒アダルト
Young Adult / 2011年 / アメリカ / 監督:ジェイソン・ライトマン / ドラマ、コメディ

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隣の芝生が青すぎて‥‥、発狂!
【あらすじ】
37歳のメイビスは都会のミネアポリスでティーンエイジャー向けの小説を執筆している。元恋人から、赤ちゃんが生まれたことを知らせるメールが届く。仕事や恋に行き詰まりを感じていたメイビスは、かつて捨てた田舎町マーキュリーに帰省します。


【感想】
ジェイソン・ライトマン監督は「JUNO/ジュノ」や「マイレージ・マイライフ」を撮っています。苦手だけど、いい映画というか。突かれたくないところを突いてくる監督である。今回の「ヤング≒アダルト」ですが、三十代、四十代の心をグサグサとえぐります。やめて。死んでしまう。

主人公のメイビスを演じたのがシャーリーズ・セロン。きれいな人ですね。今一つアンジェリーナ・ジョリーと区別がついていなかった。アンジェリーナ・ジョリーからアクション要素を引いたらシャーリーズ・セロンになると思っていた。それは失礼ですが、今回で完全に憶えました。

37歳という設定もいいですね。ヤングアダルトシリーズという小説のゴーストライターをしている。以前は人気があったが、その栄光も今は昔ということで、小説は今回で最終話。仕事恋も、ちょっと行き詰っている。そんなところにかつての恋人バディ(パトリック・ウィルソン)から、赤ん坊が生まれたというメールが届く。バディとの日々に思いを馳せながら、生まれ故郷マーキュリーへと帰省する。車中で、高校時代にバディと聴いたであろうTeenage FanclubのThe Conceptを何度もリピートさせながら。これ、カセットテープなんですよ。CDじゃなくて。

テープということでクラクラきてしまった。好きな曲を集めた「マイベスト」的なものを作るのが流行ったのを思い出す。そういうのを友達や好きな子に上げたり。ああ、恥ずかしい。変な汗が‥‥。冒頭から心臓に悪い映画であるよ。
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左は元恋人バディ。子供が生まれて幸せオーラ全開、すっかりいいお父さんです。メイビスは「バディは家族の奴隷になっている。あたしが解放してあげなきゃ!」という、みょうな思い込みでバディを誘惑するが相手にされない。観ていて本当に気の毒になるというか、頭おかしいというか、うーん、難儀である。完全に痛い人扱いなのです。

かつての同級生(右)たちからも、メイビスは嫌われているんですね。そもそもメイビスは田舎を捨てて都会に行ったということで、それも嫌われる理由の一つなのだろうけど。田舎町なのに、がんばってお洒落をしているのも逆に浮いてしまって痛々しい。あと、性格悪いし。
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戻ってきたものの誰にも相手にしてもらえないメイビスに唯一優しくしてくれるのが、高校の同級生マット・フリーハウフ(パットン・オズワルド、左)。高校時代、ゲイという疑いをかけられリンチされる。それから下半身に障害が残って松葉杖を離せなくなる。えらい重い設定の人です。メイビスというのは一人では居られない人間なので、かつてバカにしていたマットでも、側にいてくれればまだ嬉しいんですね。
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メイビスは、高校時代は全てを手に入れていた。二十代のときも、都会で充実した暮らしを送っていた。それが三十代になった今、田舎町マーキュリーに住む人々のほうが幸せそうに見える。マーキュリーなんて、かつては自分から捨てた場所だったなのに。メイビスがおかしくなっていく様子は、ちょっと怖かったですね。バディを刺してしまうんじゃないかという。

他人と比べて相手を見下して、自分の優位を確認するということは、多かれ少なかれ誰の心にもあるものだと思う。その行為の汚さに気づかないフリをして生きているから、この映画を観たときに「痛いところを突いてくる」と思ってしまう。メイビスは戯画化されているが、自分にも思い当たる。だから、笑いたくても、どこか苦い笑いになってしまう。

彼女が救われるのは、マットの妹に「あなたに憧れていた」と言ってもらったからだろう。都会でかっこ良く働いて、毎晩華やかなパーティーで恋愛をしている。この田舎町にいるのは野蛮なバカばっかりだと言う。それは彼女を慰めるためかもしれないし、兄が障害者にされた憤りのためかもしれない。そこではじめてメイビスは、他人との比較という呪縛から逃れられたのではないか。みなどこかに不満を持ちながらも生きているし、それは交換しようのないことなのだ。

で、すぐ調子を取り戻して自信満々の嫌な感じになるメイビスさんなのだった。あんた、反省してないな。三、四十代には特に突き刺さる映画だと思います。厄介だよー。

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