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2014

七人の侍

1954年 / 日本 / 監督:黒澤明 / 時代劇
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60年を経て風化しない清々しさ。
【あらすじ】
野武士に狙われた村を侍を雇って守ります。きゃー、久蔵さまー!


【感想】
黒澤映画の代表作、押しも押されぬ名作である「七人の侍」も公開から60年を迎えました。とかなんとか言って、観ていなかったわけですが。3時間を超える大作ということもあって、なかなか手を出す気になれなかったんですよねえ。

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いろんなところで素晴らしい感想が書かれているので、今更付け加えることもなにもない。この映画の数少ない欠点は、画質と音声の悪さでしょうか。長いセリフは字幕なしだと、かなり聞き取りづらいのですが、古い時代のものですし仕方がないところ。鑑賞する場合、字幕付きをお勧めします。

60年経った現在、この映画以上の作品が撮られているかというと難しい。それぐらい良かったです。

百姓と武士の描き方も面白い。百姓は、野武士に付け狙われて作物や女を奪われるという哀れな面もある反面、落ち武者を殺し、身に付けている物を奪うという残酷さも持っている。弱いだけの存在ではない。かつて落ち武者狩りにあった侍たちの中には、百姓に味方することに嫌悪感を示す者もいた。武士と百姓、どちらかが一方的に悪いという話でもない。 

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登場人物が誰も彼も魅力的ですね。七人の侍を束ねるリーダー島田勘兵衛(志村喬、左)。無口で腕の立つ久蔵(宮口精二、右)、ルパン三世の五右衛門は久蔵がモデルらしいですね。久蔵様の恰好よさにしびれます。

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まるで野良犬のような荒々しい迫力と魅力を持った菊千代(三船敏郎)。三船の前に三船なく、三船の後に三船なし、でしょうか。出自が百姓ということもあり、百姓と侍たちを繋ぐかすがいのような存在。百姓の狡猾さ、侍の傲岸さを喝破する。それは百姓と侍、両方の面を持つ菊千代だからこそできることなのだ。というか、菊千代が変人だからかもしれんけど。三船さんの弾け方が尋常ではない。

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侍たちだけではなく、脇役も魅力的ですね。妻を野ぶせり(百姓が言う「野武士」)に奪われた利吉、利吉たちが侍を雇うことをバカにしていたものの侍を説得してくれる人足、村の長老、老婆。練られたセリフに唸らされる。

野武士たちを一騎ずつ孤立させて仕留めていく戦い方は、小規模戦闘のモデルとして理に適っているように見える。菊千代が刀を何本も地面に突き立てていく様子は、映画「十三人の刺客」でも真似されていましたね。いろんなところで、「七人の侍」の影響は観られますけども。

古い映画を観るときは、現在の価値観とのずれを楽しんだり、あの時代なのにここまでやれてすごいという、現在から割り引いた評価をしてしまいがちですが、そんな手加減はする必要もない。問答無用の面白さ。今、公開されても、ダントツに面白い。

wikipediaの黒澤監督、三船敏郎、志村喬などの項を合わせて読んでも面白いですね。音楽を担当した早坂文雄が作った20曲すべてを没にして、ゴミ箱に捨ててあった一曲を弾いてみたら採用になった話とか。20曲も作ってきたらふつうはかわいそうだから没にできない。そんな甘さは芸術にとって邪魔にしかならないのはわかっているのだけど。どうしても、かわいそうとか余計なことを思ってしまう。それを容赦なく没にしてしまう鬼の黒澤。だが、その妥協の無さがあればこそ、60年を経てなお風化しないこの映画があるのではないか。もう素晴らしい作品に対する感謝しかない。こんなにワクワクする作品には滅多に出会えない。

わたしは、まだほとんど黒澤映画を観ていないのです。なんて幸運なことだ! 
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