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2014

映画「ルート・アイリッシュ」

ルート・アイリッシュ
Root Irish / 2010年 / イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ベルギー / 監督:ケン・ローチ / ドラマ
名称未設定-6
民営化された戦争。
【あらすじ】
自分が誘ったことで民間軍事会社で働き始めた幼馴染。彼の死に不審な点を感じたファーガスは死亡原因の調査を始める。


【感想】
「民間軍事会社」という、戦闘や要人警護を請け負う民間組織の闇に踏み込んだ作品。映画は監督の民間軍事会社への憤りを感じさせるものでした。怒りが強すぎて、面白いかと言えばちょっと難しい。イラク帰還兵への取材を元に作られた作品であるし、ドキュメンタリーとして作っても良かったようにも思いました。

舞台は2007年、イラクでもっとも危険なエリア「ルート・アイリッシュ」で幼馴染が襲撃を受けて死亡。大金が儲かるということで、民間軍事会社で働くことを誘ったファーガス(マーク・ウォーマック)は後悔する。実際にこういった形で友人を失い、人間関係が滅茶苦茶になる人もいるかもしれない。
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作中でサラッと触れてますが、民間軍事会社で死亡すれば戦争で死んだことにならないんですね。ふつう、戦争で死亡すれば国から勲章や弔慰金が出る。ケガをすれば福利厚生を受けられる。だが、そういった手当も受けられない。

国は民間軍事会社を使うことをやめようとしない。福利厚生費用を削ることができるし、戦争死亡者として数えなくて済むので国民へ発表する必要もない。選挙も安心。捕虜になっても、危険を冒して救出したり身代金を払う必要もない。また、民間軍事会社の人間が問題を起こしても、それは会社がやったことだからと逃げることができる。いい仕組みだなあ!ということで、えらいことになっておるよ。
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舞台になっている2007年というのは、民間軍事会社ブラックウォーターによるイラク人への無差別発砲事件が起きた年である。イラク人17人が死亡した。この虐殺に対し、当時は連合軍暫定当局(CPA)が定めた指令第17号が存在したため、加害者にはこれといった処分はなかったという。CPA指令第17号は、民間軍事会社はイラクの法律に従う必要がないとしている。民間人を殺しても、裁く法律がないのだ。(イラク政府は、指令第17号を2009年1月1日に無効とした。)
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で、いろいろありすぎて、頭に来たファーガスは民間軍事会社の人間を爆弾で殺すことにする。この爆弾はイラクでテロリストがよく使うタイプのものなんですよね。民間軍事会社の中心人物だけでなく、大学を出たばかりの女子社員みたいな人間も、ためらいなく殺してしまう。完全にテロリストになっている。ファーガスは、自分の人生を修復することができないところまで来ていたのだろう。

問題の根が深すぎて、無力感が漂います。本当にねえ、儲かれば人が死んでもいいという考え方はやめたほうがいい。お金の使い道といっても、豪邸買って、愛人囲って、ブランド物買って、美味しい物食べて、それぐらいだと思うけど。でも、それぐらいと思っても、いざやってみたらやめられないのかもしれん。わたしが持たざる者だから、この魅力に気づいてないだけかも。ためしに誰かわたしに、豪邸と愛人とブランド物と美味しい物をくれないか。

しかし、教育と軍事だけは、効率を求めて民営化するのはやめたほうがいいと思う。ブラックウォーター社は、XeサービシーズLLCに社名を変更、さらに現在はアカデミ社に変更して活動している。

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