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2015

タイピスト!

Populaire / 2012年 / フランス / 監督:レジス・ロワンサル / ラブコメディー
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たとえ他人に人生を決められたとしても。
【あらすじ】
雇い主から「タイピング世界一になれ」と強要される娘。タイピングスポ根ものである。そんなジャンルあるのか。


【感想】
アマゾンのレビューでも好評でした。この作品を薦めてくれた方は女性ですが、女性受けの良い作品なのかなあ。

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1950年代のフランスが舞台。この当時はタイピストというのが女性の憧れの職業だったのでしょうか。田舎から出てきたばかりのローズ・パンフィル(デボラ・フランソワ、右)は特技があるわけでも、頭の回転が良いわけでもない。タイピングは他の人よりちょっと速いけれど、指を十本使わずに人差し指だけで打つ自己流のものだった。ビル・ゲイツも同じ打ち方ですね。

保険会社を経営するルイ・エシャール(ロマン・デュリス、左)は、ローズのタイピングを矯正し、タイピングの大会にでることを命じる。実際に当時はタイピングの大会が開催されていたんですね。大会で勝つために特訓する二人は、やがてお互いのことを‥‥という王道の展開のラブコメ。もう! 君たちはすぐイチャイチャして!

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この場面は、事務所に電話が掛かってきて、ちょうど良いものがないので雇い主の手をメモ帳代わりに使っているところ。なんだこれオイ。そこら辺にいくらでも紙あるでしょうが! こんなかわいい子にこんなことされたら、即陥落である。ちょろいわー。

オードリー・ヘプバーンの作品をリメイクしたような印象。主演のデボラ・フランソワは、監督からオードリーの「マイ・フェア・レディ」を参考にするよう指示されたとある(公式サイト)。きれいな女優というのはたくさんいる。でも、愛らしいというのはなかなかいない。デボラはオードリーを彷彿とさせる愛らしさがあった。髪形はオードリーのものをそのまま使ったそうです。

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衣装や小物も色使いは派手で鮮烈ですけど、それでいてかわいらしい。60年代、70年代の雰囲気が好きな人にはたまらないんじゃないかなあ。いいですよ。タイプライターに合わせたローズのマニキュアもいい。煙草に対して寛容なのも時代を感じさせますね。

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で、このタイピングを強制する雇い主エシャールである。高圧的な態度なのだけど、実は優しいという。そんで男前、金持ち、家柄も良い、スポーツもできる、頭も良い、若いのに社長という。いいかげんにしろ。

エシャールはローズにタイピングを教えつつも、意識しているのかしてないのか、自分好みの女に教育していく。それが何か気持ち悪い。本をタイピングさせるときも「本の内容は理解しなくていい」と言っているのだけど、それはエシャール独特の言い回しで、本当は読んで教養を身に付けてほしいと思っている。

タイピング練習の時間が惜しいから、自分の家に住めと命令もする。独身女性に自分の家に住めというのは、かなりなことである。ローズも強制されて嫌がるものの、それでもどこか支配されたがっているように見える。もし人生に迷っていて、何をやっていいか見えないとき、一方的に「これさえやってればいいんだ」と言われたら、不満に思う反面、楽かもしれない。そうやってグイグイ引っ張ってくれたら、それがたとえ独裁的であってもかまわないのかもしれない。

そんで結局、やかましい下宿を出てみたら自分の部屋はもらえるわ、エシャールは食事を作ってくれるわ、指をマッサージしてくれるわ、至れり尽くせりなのだった。そりゃ、支配されたい。わたしも支配してくれんか。ゴリゴリのおっさんだけど。

なんだろう。始めのうちは、自分の人生を他人から一方的に決められるなんてと思っていましたが、考えてみれば選べることなんてそんなに多くない。会社で、自分の希望の仕事ではないことをやるのは当たり前である。だとしたら、たとえ強制的であっても幸福な弾圧なら問題ないのかも。

ローズは支配されたがっているように、エシャールは支配したがっているように見えて、その関係に歪なものを覚えたが、当人同士がそれでいいってんだからいいのだろう。わたしは単に羨ましいだけなのではないか。ああ、気づきたくなかった。本当のことなんて。

ラブコメ好きの方は是非。内装、小物、衣装もすてきで楽しめます。


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