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2015

映画「デッド・クリフ」

デッド・クリフ
Vertige / 2009年 / フランス / 監督:アベル・フェリー / 登山、ホラー

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かつてこれほどまでに役に立たない主人公がいただろうか。
【あらすじ】
立ち入り禁止を無視して山に入ったら、怖い目に遭いました。



【感想】
三国志の一番の見せ場は、魏対蜀・呉連合軍の赤壁の戦いである。この大決戦をとりあげたのが「レッド・クリフ」(ジョン・ウー監督)でしたが、なんとなく観ずにいた。ケーブルテレビでやっていたのでチャンネルを合わせたら、欧米人が陽気に山登りをしている。わたしのイメージしたレッド・クリフと違う。だってこれはデッド・クリフ。人が五人しか出てないけど、いつか血沸き肉躍る決戦が始まるかもしれない。このまま観ることにした。

原題の「Vertige」は「めまい」という意味で、高所を恐る恐る渡っていく様子はたしかにめまいがしそう。前半のロッククライミングや吊り橋の場面は素晴らしい出来です。前半は。

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クロアチアに山登りにやってきた五人、二組のカップルと一人の男。左二人はカップル、登山上級者である。真ん中の二人もカップルだが、一番右の坊主頭は右から二人目の女性の元彼である。なぜこんなややこしい人間関係で山に来るのか。もめないわけがない。人がもめるのが好きなので、たいへんよろしいと思いますよ。

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メンバーの中でもっとも登山経験が浅いルイック(ジョアン・リベロー)。口から出る8割の言葉が文句、残り2割が嫉妬という、面倒な人です。な、なんじゃこりゃ‥‥って表情。実にいいお顔をしてますね。考えてみればかわいそうな人で、他の人たちはみんな登山技術があるのに、ルイックだけは初心者同然なのだ。それなのにとんでもない高所を歩かされる。

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ここ、下に何もないですから、そりゃ「もう無理ー!」ってなるわ。わたしなら気絶する。恋人の前でみっともない所を見せるわ、恋人の元彼に助けてもらうわでプライドはズタズタ。

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撮影している側はこんなふうになっている。撮るのも命懸け。ロッククライミングの場面が本当に良く撮れていて、全編これでいってほしかったのですが後半のホラーパートで失速してしまったのが残念。

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いろいろあって大ピンチ。「早くワシを引き揚げろ! 素人なんだから早く助けろ! ボケー!」と文句言いまくりのルイックさん。なかなかのクズですよ。ダメな人を見ると、実に癒される。わたしのようなダメ人間でも生きていていいのかなと思わせてくれる。ありがとう。

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登山なのになぜか胸元が大胆に開いた服を着てくるクロエ(ファニー・ヴァレット)。映画のストーリーから気が逸れるから、余計なお色気はいらないのだけど、でもこれはこれでいいのではないか。どうしてもというなら、ええ、いいのではないか。きれいな人ですね。

ルイックの器の小ささはすごい。友人が亡くなって落ち込んだクロエは、元彼の胸を借りて泣く。そのときに「ワ、ワシのほうに来なかった!」と嫉妬の炎を燃やす。実に醜い。そりゃ、あんたもう滅茶苦茶だからなあ。殺されかかっているクロエを見捨てて逃げるわ、元彼を閉じ込めて殺そうとするわ、ちょっといないぐらいのひどい主人公である。文句しか言わないし、登山の実力もまったくないし、悪い所を集めて作った人間のようだ。わたしの悪口はやめろ。

そんなルイックさんに共感できる映画でした。映画は、前半の登山部分は良くて後半はよくあるホラーという感じでしょうか。だいぶ失速したように感じた。でも、登山部分は一見の価値ありだと思います。美しい風景とルイックさんの小物っぷりに心が癒されます。


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