15
2015

映画「誰も守ってくれない」

誰も守ってくれない
2009年 / 日本 / 監督:君塚良一 / サスペンス

名称未設定-2
全部オタクが悪いんです! あいつら気持ち悪いし!
【あらすじ】
殺人事件の加害者家族を守ります。


【感想】
マスコミによる過熱報道、ネットによる加害者及び加害者家族への攻撃、それらから加害者家族を守る警察の活動を描いた作品。ちょっと変わった視点ですね。監督、脚本は「踊る大捜査線」で脚本を担当した君塚良一。

物を作ることの難しさというか。自分がある対象について、差別や偏見を持っていた場合、その感情を隠して作品を作り上げるのは難しいのではないかと思いました。もう、監督からネットへの敵意というのをバシバシ感じてしまったよ‥‥。

犯罪加害者の家族を守る警察というのが面白そうだし、役者も佐藤浩市、志田未来、松田龍平、石田ゆり子、佐々木蔵之介、柳葉敏郎など豪華なので期待して観ました。なんの罪もない小学生姉妹を殺害した犯罪者の妹に志田未来。彼女を守るのが刑事の佐藤浩市。佐藤浩市を軸にして物語は展開する。

しかしこれ社会派作品というわけでもないんですよね。社会派風の娯楽作品になっている。そのため、どこまでが本当でどこまでが嘘かがわかりにくい。志田未来の自宅にマスコミが押し寄せ、彼女を連れて車で逃げる佐藤浩市と松田龍平。マスコミをまくためにカーチェイスが展開される。容疑者本人ではなく、容疑者の妹の顔を撮るために危険運転をするマスコミと、彼らをまくために危険な運転をする警察。加害者本人ならともかく、未成年の妹を撮るためにここまでやるだろうか。

マスコミは走行中の車のドアを開けて、命懸けで撮影。警察も警察でけっこうなスピードで道の真ん中でUターンとか。ここらへんからすでに怪しい感じがプンプンしていたのである。

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どこもマスコミが張っており行き場所がないので、仕方なく佐藤の自宅で休憩。志田未来が自宅へ携帯を忘れてきたというので、取りに戻る佐藤浩市。パシリである。浩市をパシリに使うとは恐るべき女子高生。で、志田未来を見張るために呼ばれてきた精神科医が木村佳乃(写真右端)である。警察が民間人に見張りを頼んでいいのだろうか。この木村佳乃がやたらに色っぽいというか、無駄にいい女オーラを出してくるのだった。絶対に浩市の愛人だな! と思ったら違った。

それはいいんですけども、志田未来に「警察の人ですか?」と訊かれたときの木村の返事は「ノン」である。そんで思わせぶりに視線を逸らす。フランスに留学してた設定だったかなあ。もう忘れたけど。観ていて具合が悪くなるというか、いいのか精神科医が観客の具合を悪くして。「ノン」だのなんだのかっこうつけて返事をしているが「ノン」しかフランス語は出ないのだった。じゃあ、もう日本語でいいじゃんかあ! 痛々しさがすごい。寿命ちぢむわ。

で、いろいろあって木村佳乃の自宅へ。モデルルームかトレンディドラマに出てくる生活感のない家。家賃30万ぐらいしそう。やはり浩市の愛人であることを確信した。一晩泊めてもらった後、田舎に逃げることに。もう都内のホテルとかに引きこもってりゃいいと思うんだけども、浩市謎の逃避行である。

浩市が選んだのは、柳葉敏郎・石田ゆり子夫婦が経営するペンション。何年か前、警察がある事件の容疑者を泳がせていたところ、彼らの子供がその容疑者に襲われて死んでしまう。柳葉夫妻は犯罪被害者の遺族なんですね。今回の事件同様、なんの罪もない子供が犠牲となっている。いわば、自分たちの事件と酷似した事件の犯罪加害者側の家族をかばうため、彼らのペンションに行くのだ。え、さすがにそれはちょっとまずいのでは‥‥。結果、まずいことになったのだけど。柳葉敏郎が笑ったり怒ったり笑ったり、ウルトラ情緒不安定で観る者に恐怖を感じさせた。この映画はホラー映画ですか。

ここらへんの浩市のデリカシーのなさはものすごい。なぜか悪い方悪い方へと行ってしまうのだ。うーん、重度のアホなのかなー。浩市、切れ者に見えて、けっこうアホなのかなー。数々のデリカシーのない発言と行動にも恐怖したが、日本のドラマでよく見かけた場面も気になった。とっくに切れてる電話に向かって「もしもし!もしもし!」とか、暴漢が乗って逃げる車に向かって「まてぇ!」と叫ぶ(当然聞こえてないし待たない)とか。ここまでくるとコントに見える。

また、ネットでの誹謗中傷を描く場面で、誹謗中傷をする人たちの描写がすごいんですね。暗い部屋で画面に向かって、ニヤニヤしながらひたすらキーボードを打っているような。悪意しかない。2chのことを表現しているのだろう。

で、佐藤浩市をオタクが襲う場面があるが、ここはすさまじかった。ノートPCにはアニメキャラのステッカーをベタベタに貼り、帽子にもバッジをつけ、チェックのシャツにバンダナ、一人は小太りでメガネだっただろうか。これが気持ち悪いオタクだ! という人たちがノートPCで佐藤浩市をボコボコにするのである。このオタク襲撃場面はかなり笑った。浩市がその気になれば、オタクは一発で死ぬのではないだろうか。

刑事を直接襲うとはあまりにもバカバカしい。犯人の妹だが、犯罪とは関わりのないただの高校生を、どこまでも追ってくるだろうか。ネットで誹謗中傷しても、それはやらないでしょう。あと、志田未来をだましてホテルに連れてきて実況中継する意味がわからない。誰もいない部屋にポツーンといる人を映して、何をしたかったのだろうか。

最後は、記者である佐々木蔵之介が「自分が主役で、ボールを持っていたと思っていたら、坂道になっていて足元にいつの間にかボールがなかった」みたいなことを言う。マスコミが火をつけたけど、ネットのほうでもっと強く燃え盛っているということだろうか。ネットがひどいから、マスコミの過熱報道が許されるかというと、それはまた別問題である。ネットへの安易な責任転嫁にしかとれない。それと警察の扱いもひどい。兄が罪をおかし、母親がショックのあまり自殺して苦しんでいる志田未来に「おまえも(兄と)同類だ! 知っていることを話せ!」とか、もう無茶苦茶である。まともな人を探すのが難しいよ‥‥。

もっとも驚いたのは、志田と佐藤浩市が心を通わせ、事件当日の兄の様子を志田が佐藤に打ち明ける場面。兄が血まみれになった手を洗っていたのを見ていたという。え、普通、家族が血まみれになっていたら「どうしたの?」って聞かない? それか親に「お兄ちゃんが血まみれで‥‥」と言うのが普通である。それを翌日、笑顔でバレーボールやってるって、おまえ頭おかしいんかーい!ってなりますよ‥‥。もう、なにこの映画、すごい‥‥。わたしは死ぬ。

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