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2015

映画「パンチドランク・ラブ」

パンチドランク・ラブ
Punch-Drunk Love / 2002年 / アメリカ / 監督:ポール・トーマス・アンダーソン / ラブコメディ

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たとえ変人だとしても。
【あらすじ】
かんしゃく持ちのバリーとキャリアウーマンのリナの恋。



【感想】
映画を観ていて、まったく意味がわからない作品というのがある。理解力が足りないせいですが、意味がわからないなりに好きなんです。この監督の映画は、何年かたって観てもやっぱりわからない気がする。思考の方向性が常人とはまったく違うというか。

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コメディによく出ているアダム・サンドラー。この映画では、穏やかですがキレると抑えがきかないバリーを演じています。姉が7人もおりまして、この画面左の人もその一人ですが、とにかく姉たちからの圧力がすごいんですよね。子供の頃のバリーの嫌な思い出を延々と語ったり、職場に執拗に電話をかけてきたり、バリーさんじゃなくても怒りますよ。バリーさんは怒って、姉の家のガラスを割りまくるけど。狂人同士か。

バリーはストレスをギリギリまで溜めこんでしまい、一定量を超えるとところ構わず暴れてしまう。ここまで極端な人はいないでしょうが、ちょっと共感できるんですよねえ。

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変わり者のバリーに一目惚れしてしまうリナ(エミリー・ワトソン)。バリーのちょっと変わったところを受け入れつつ、二人の恋愛は順調にすすむ。

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ベッドでリナがバリーに「あなたの頬をかじりたい」と言う。バリーもかなり奇妙で暴力的な言葉を返す。恋愛というのは二人の王国にいるようなもので、常識や法律は関係なくて、二人が良ければそれで良い。傍から見て、それがどんなに奇妙でも関係ないのだ。

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とにかく二人が楽しそうなのはいいですね。リナがバリーに全面的に味方をしているのも観ていて嬉しくなる。たとえ周りからバリーの青いスーツが変と言われようが、リナだけは「似合っている」と言い張っている。

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物語が始まってすぐ、会社の前にハーモニウム(ピアノに似た鍵盤楽器)が捨てられる。この音の外れたハーモニウムをバリーは拾う。バリーがハーモニウムをなぜ拾ったか、どうして気に入ったかという説明は一切ない。リナとの出会いの場面、リナがハーモニウムについて言及する。好きな人が何かを言うと、自分も影響を受けて、それをやってみようかなと思うことはある。そんなちょっとした気まぐれだろうか。

ラストシーン、バリーがハーモニウムの前に座っているところにリナがやってくる。リナは「さあ始めましょうか」とバリーに声を掛ける。二人でハーモニウムを弾くところで映画は終わる。音の外れたハーモニウムは、世間にうまく適応できないバリーの極端な性格を表してるように思えた。音が外れた楽器は世間的にはまったく価値のないものですが、そういうことは二人にとってどうでもいい。誰か一人でも、楽しく弾いてくれればいい。バリーが、ハーモニウムを抱えてリナの家を訪れるのも、壊れたハーモニウムのような自分を受け入れてほしいという願望に思えた。

ふつうの人間というのはどこにもいない。バリーのような極端さはなくても、みなどこか歪んでいる。ひどい歪みを持つ人間を受け入れてくれる映画を見ると、嬉しくなるんですよね。これ、わたしがかなり歪んでいるということだろうか。いやそんなことはないはず。わたしは歪んでない歪んでない歪んでない歪んでない歪んでない。大丈夫。って、怖いわ。完全にアウトじゃんかあ!

色使いと音楽もきれいで、すてきな映画です。トップの画像もそうですが、ちょっとした場面場面がいい。意味はわからなくても、嬉しくなったらそれで十分じゃないの。

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