22
2015

映画「ファインド・アウト」

ファインド・アウト
Gone / 2012年 / アメリカ / 監督:エイトール・ダリア / サスペンス

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張り巡らされた伏線の数々‥‥を使わない。
【あらすじ】
妹が誘拐されたけど警察が信じてくれないので自分で探します。



【感想】
緑が鮮やかな森林公園の空撮から映画は始まる。広大な緑地を走る細い道路は、灰色の巨大な蛇がうねっている印象を与える。広大な自然に敷かれた道路の空撮というと、スタンリー・キューブリックの「シャイニング」のオープニングも同様ですね。シャイニングを意識して撮ったわけではないでしょうが、自然と不安感が膨らんできていい。それにしてもこの空撮、やたら長いのだった。一行前は褒めたのに、ちょっと飽きもした。

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主役のジルを演じたアマンダ・セイフライドが本当に良かったですよ。良すぎて嫌いになったかもしれない。ジルは一年前に何者かによって森林公園に誘拐監禁される。その際、いくつか死体も発見する。監禁場所から逃げ出すが、警察はジルの証言を信じないばかりか、彼女を精神病院に入れてしまうのでした。ガッデーム!

なんとか社会復帰したものの精神的に不安定なジル。だが、ある日仕事から帰ってくると同居していた妹がいないのだった‥‥。ヤツに誘拐されたに違いない! ジルは警察に駆け込むが、前回の事件を狂言と思っている警察はまともに取り合ってくれない。「おいおい~、またかよ~」と、信じてくれない皆さん。

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ジルは警察に対する不信感が根底にあるから、どうしても感情的な言葉をぶつけてしまう。それによって、警察は彼女をより信用しなくなっていく。それは、妹のボーイフレンドも同様で、彼女が周りに信じてもらおうとすればするほど、周りは遠ざかっていくんですね。これぞ負のスパイラル。

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「もし妹が死んだら、あんたたちのせいだからね!」って、そりゃ警察も協力してくれなくなりますわ‥‥。自分から敵を作っていくタイプです。

この「誰も信じてくれない」系のサスペンスは二種類あって「犯人は本当に存在するが巧妙に隠れている」か「自分の妄想」に大別される。ジルは、あまりに強引かつ情緒不安定なため「これ全部ジルの妄想じゃないのか‥‥」と、観ていて不安になるのがいい。

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仕方ないのでジルは自分で妹探しをするわけですが、関係者がみんな怪しくていい。少しでも怪しいと見るや銃を突きつけていくジルの強引さも怖い。ちょっとアレな人ですよ。ジルは一年前に襲われたことから格闘技をやっている。その格闘技も犯人相手には発揮されずに、全然関係のないアパートの管理人(弱そう)の関節を極めるぐらいにしか役に立ってない。不法侵入して関節技を極めたら、まずいのではないか。だがジルは全然気にしないのだった。

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とにかく伏線の張り方が巧妙を通り越して奇妙というか。この人は、最近配属されたばかりの新人刑事で、唯一ジルの話を聞いてくれるんです。クライマックスの場面で、この刑事が母親の見舞いに行っているとかで突然姿を消す。他の刑事も苛立つし、こちらも「こいつが犯人か!」となるのですが、その後に出てこないんですよねえ。本当に母親の見舞いだったらしい‥‥。なんかこう、スッキリしないのだ。

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犯人と対決するため、車で森林公園に乗り込む場面もそうである。ここは怖くて良かったですねえ。犯人の指示で車を降りるが、後ろの座席に犯人が乗り込んできている雰囲気をプンプン出す。「あああ‥‥ジル、後ろに犯人が! 逃げてー!」と思うのだが、散々焦らして何もないのだった。いないんかーい! むしろ、いてくれ!ってなりますよ。

焦らして焦らして、最後には何かあるというのがパターンだと思いますが、この映画は焦らして焦らして何もないというのが斬新というか拍子抜けというか。最後まで本当に何もない。犯人はアホな上に弱いし困ったもの。ジルの格闘技も、弱い管理人に関節極めるぐらいしか使い道がないし。妹も自力で脱出してしまう体たらく。仕事の詰めの甘さに苛立つ。わたしなら、もう少しうまくやる。キミとは一緒に誘拐事件はできないね! と思いました。

一箇所、ちょっと強引な場面があったような。ジルが犯人を脅して妹の監禁場所を聴くところ。犯人は監禁場所を自白する。すると、ジルはド短気ちゃんなので、おまえは用済みじゃあい! とばかりに犯人を殺してしまうのだった。その監禁場所が嘘だったらどうするのだ。だが、まったく考えないで結果オーライ。考えたら負けだ。わたしも考えずに生きていこうと思いました。

ジルの不安定な精神状態の演技が良かった。自分勝手に振舞う様子に不愉快さを覚えることがあった。妹のボーイフレンドに苛立ったり、妹のクラスメイトの部屋に無理矢理踏み込んで謝罪もしない、同僚に強引に車を借りてお礼の一つも言わないとか、余裕のなさがそうさせるのだけど、そのせいであまりジルを好きになれない。それは演技が上手いからだけど、上手すぎて役者自身が損をしているようにも感じる。だって性格悪く見えるもの。

アマンダ・セイフライドが始めから終わりまで苛ついているので、苛ついている人が好きな人は是非是非。がんばらない警察、弱い犯人マニアの方にもお薦めです。

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