03
2015

異人たちの棲む館

Magnifica PRESENZA / 2012年 / イタリア / 監督:フェルザン・オズペテク / ファンタジー、コメディ
名称未設定-1
裏切者と裏切られた者、どちらの傷が深いか。
【あらすじ】
屋敷を借りたら幽霊が棲んでた。



【感想】
幽霊は出てきますが、ホラーではなくファンタジーで、ちょっと不思議ないい話。

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パン屋に勤めつつ、俳優を目指すピエトロ(エリオ・ジェルマーノ、右)。左は仲の良いいとこ。同じベッドで寝てますが、ピエトロはゲイなので、いとこに手を出す気はまったくない。

映画で、ゲイなどの性的マイノリティを扱うときは、周囲に理解してもらえない苦しみ、差別との戦いがテーマになることが多い。イタリアではゲイへの理解が進んでいるのか、まったく葛藤も戦いもないんですよね。ピエトロはのほほんと暮らしているし、周囲もピエトロをごく自然に受け入れている。これはこれで新鮮。

同監督の映画「あしたのパスタはアルデンテ」では、ゲイであることを周囲に伝えられず悩む主人公が登場する。あちらは舞台がイタリアの田舎町であり、こちらは首都のローマ。その違いもあるのかな。監督のフェルザン・オズペテクは、自分がゲイということを公言してるからか、主人公がゲイという設定が多いですね。

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借りた屋敷に居ついていた幽霊の方々。古風な屋敷で一人暮らしのはずが、夜な夜な舞踏会みたいなことに。主人公は、最初は驚いていたものの幽霊と友達になって共同生活に突入。楽しそう。

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幽霊ひとりひとりのキャラにはあまり焦点が当たらない。見た目は個性的なんですけども。まとまって扱われてしまっているような。もうちょい個人個人を観たかった。

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彼らがなぜ幽霊になったか、戦争中に何があったのか、幽霊に頼まれたピエトロは謎を追っていく。そこで一人の人間の裏切りがあったことがわかる。裏切った者と裏切られた者、どちらの傷が大きいのだろう。裏切りが誰にも気づかれず行われたとしても、自分だけは見ている。他人からは逃げられても自分からは逃げられない。裏切ったという良心の呵責を抱えて生き続けることは、勝利や満足には程遠いように感じるのだ。

一方で、裏切られた幽霊のみなさんはわりと楽しげに生きている。死んでるけども。裏切りを許す場面がありますが、あまりの爽やかさに驚いた。幽霊なので、やっぱり呪い殺すのが幽霊としての正しいやり方だと思うんです! 日本と違って、ちょっと陽気なのかなあ、イタリアの幽霊は。テレビから這い出てきたり、皿を数えたりという真面目さに欠けている。もっと真面目に人を呪ったり祟ったりしてほしい。

裏切った者の苦しみを理解したのか、幽霊たちはすごく優しいんですよね。許しの場面は不思議な感動がありました。あんなふうに人の罪を許せたらすばらしい。派手さはまったくないですが、しみじみしたいい映画でした。

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