05
2015

ヒッチハイク

Autostop rosso sangue / 1977年 / イタリア / 監督:パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ/ サスペンス、犯罪
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夫婦とは難しきもの。
【あらすじ】
ヒッチハイカーを乗せたら強盗でした。



【感想】
キャンピングカーに寝泊まりしながら、優雅に旅をしているウォルター夫妻。ある日、親切心でアダム(デヴィッド・ヘス)というヒッチハイカーを乗せたところから彼らの恐怖が始まる。と、ここまではよくあるサスペンスだと思います。だが、この映画はウォルター(フランコ・ネロ、左)とイブ(コリンヌ・クレリー、右)の夫婦関係がちょっと変わっている。

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強盗を乗せる前から、異様な雰囲気なんですよね。夫のウォルターは記者というが、ほとんど仕事をしていないように見える。酒ばっかり飲んで、奥さんに「やらせろ、コノヤロー!」と暴言を吐くのが仕事に見える。うらやましい仕事だな! 妻のイブは美人の社長令嬢。ウォルターからひどい扱いをされているものの、なぜか離婚という選択肢はないようです。

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映画は、ウォルター夫妻が旅の途中で狩りをする場面から始まる。ウォルターは狩猟用のライフルでイブに狙いを定めてニヤニヤしている。この不穏な始まり方があとで生きてくるのがうまいですね。

ウォルターはイブに暴言を吐き、レイプ同然で彼女を犯す。お互いの愛情は消えているように見えるが、なぜかセックスだけはする。セックスレス夫婦の逆のセックスオンリー夫婦というか。 イブにつらく当たり、何かの復讐のように強引にイブを抱くウォルター。なぜイブにつらく当たるかは説明されない。

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彼らの旅の目的も、どこへ行くかも、いつまで旅を続けるのかも説明がない。そこが面白くもある。強盗犯に子供がいないのかと訊かれて、ウォルターは明らかに不機嫌になる。ウォルターは子供が作れないのかもしれない。それとも、夫婦関係を改善するために子供を作ろうと、この旅を計画したのかもしれない。こんなに仲が悪いのに旅を続けているのが本当に不思議なんですよね。

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イブが社長令嬢であることをウォルターが皮肉る場面が多い。この映画は1977年公開ですが、この頃の価値観だと、男が仕事をして女が家庭を守るという考え方が強いように思う。男は一家の大黒柱だったからこそ、威張ることも許されていた。それがいいことだと言う気はないですが。ウォルターは、イブが社長令嬢のために働く必要がないんですよね。すると、甲斐性を発揮する場面もないし、威張る理由や自分の存在価値もなくなってしまう。ただ威張っているだけの口だけ人間で、引け目があるから酒に走ったり、反動でイブへの嫌がらせをしているようにも見えるのだ。

しかし、単に嫌な人ということもある。

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ウォルターさん、ときどきものすごく面白い顔するんだよなー。これは、酔ってテントのロープに引っかかって転んだので、テントの持ち主に文句を言うところです。完全なる逆ギレ。飲んでるか、暴言を吐いているか、たいていどっちかである。めんどくさい人だよ。

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強盗犯アダム。けっこうな変人ではあるものの、ウォルターが輪をかけてひどいキャラなので、あまり気にならない。

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なにせ顔が面白いウォルター。顔が面白いというのは本当に重要ですね。

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正体不明のトラックに追いかけられるところは、スピルバーグの「激突!」を思わせました。これ、やりたかったんだろーなー。「激突!」への憧れが溢れている。わりとすぐに正体がわかるので「ミニ激突!」 という感じですけども。

一箇所とても印象深い場面がある。強盗犯から食事を作るように命令されたイブは、キャンピングカーで食事の準備をする。そこには狩猟用のライフルがある。だが、イブは犯人を撃てるにも関わらず、ライフルを手に取らない。やがてイブは、縛られたウォルターの前で強盗犯に犯される。お互いの愛情は消えているものの、ウォルターのイブへの支配欲は強い。ウォルターは犯されているイブを見て、猛烈に犯人を憎む。イブは凌辱されて悔しいはずなのに、恍惚とした表情を浮かべてウォルターを見つめる。それは、強盗犯を利用してウォルターを苦しませるイブの復讐に見えるのだ。

イブの行動は滅茶苦茶かもしれない。だが、自分がより大きな犠牲を払っても、嫌いなヤツを困らせたいという気持ちは理解できる。強盗犯を射殺した後、ウォルターは放心状態のイブに服を着せてやる。今まで脱がす一辺倒だったのに。イブに露出の多い服を着せてたのもウォルターの趣味だったのだろう。そんなウォルターが、共通の敵を排除した後、少しだけイブに優しくなるのだ。

最初、イブを支配したのはウォルターであり、次は強盗犯だった。その支配を解き放ち和解が訪れるかと思いきや、ちょっとたったら、またすぐに元の「やろせろマン」に戻ってしまうウォルター。人はそんなに簡単に変われないのか。それにしても困ったお人。

ただのB級サスペンスとは言い切れない、人間の歪み、夫婦の奇妙さを感じさせる映画でした。話の展開も早くていいですね。イブ役のコリンヌ・クレリーは、なまめかしさを強く感じさせる。ウォルターのとんでも行動が目に余るので、万人にお薦めとはいきませんが、ちょっと不思議な映画でした。あと、コリンヌ・クレリーが景気よく脱いでますので、興味がある方は是非。



ジャケットはこんなんですが、劇中のコリンヌ・クレリーはとてもきれいです。ジャケットのほうがひどいという珍しいパターン。
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