08
2015

モンスターズ / 地球外生命体

MONSTERS / 2010年 / イギリス / 監督:ギャレス・エドワーズ / SF、恋愛 名称未設定-1
宇宙人が攻めてきても、それでも僕らはトイレに行く。
【あらすじ】 メキシコが危険地帯になったので、アメリカまで逃げる。のんびり逃げる。



【感想】 公式サイトを見て驚いたのが、かなりの低予算映画であるということ。「総製作費がたった130万円(1万5000ドル)」とある。ここまでくると製作費のなさを売りにするために、あえて低く申告しているような気も。役者は主演の2人、スタッフは6人の計8人。本当に130万円で映画ってできるのだろうか。ロケ弁とか泥を食べてたのではないか。間違いない。

これ、役者もスタッフもボランティアなのかなあ。ですが、お金はなくとも安っぽさはまったく感じなかった。荒廃した街並みは美しく撮れている。光の入り方が美しい。

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とはいえ、お金がない苦境は冒頭からいきなり現れている。「地球外生命体のサンプルを採取したが、大気圏突入時にメキシコ上空で大破。その直後、突如出現した“地球外生命体”の増殖によってメキシコは危険地帯として隔離されてしまった‥」 普通の映画なら、冒頭から派手な映像で観客の興味を引くところを、すべて文字で説明という力技。逆に潔い。変に安っぽいCGで作るより、いいんじゃないでしょうか。

この映画はモンスターパニック映画ではなくて、危険地帯から脱出する二人のロードムービーなんですね。監督はインタビューで「周りでクレイジーなことが起っていても、日々の生活を送らなくてはならないことに変わりはない」と語っている。たしかにどんな非現実的なことが起っていても、それは日常の中にある。たとえば、殺人事件が起きたとしても、殺人犯はトイレに行くだろうし、風呂にも入る。自分の起こした事件がどう扱われているか、新聞に目を通したとき、普段の癖で四コマ漫画を見るかもしれない。非日常の中にも日常は存在する。 危機の中にあっても、今一つ現実感を感じずにのんびり逃げている二人の姿はリアルなのかもしれない。

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スクープを狙うぞ~、というカメラマンのコールダー(スクート・マクナリー)。金のために危険地帯までやってきたモラルなき男。「子供の笑顔は金にはならない。金になるのは泣いてる子供の顔だ!」 うーん、なかなかのクズですなあ。ちょっと、戦場カメラマンとかジャーナリストに対する皮肉を感じる。

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社長令嬢サマンサ(ホイットニー・エイブル)。危険地帯でケガをし、コールダーにアメリカまで送り届けてもらうことに。主演の二人は現実でもカップルで、映画公開後に入籍したそうです。

撮影では、アドリブで40分間、カメラを回し続けたそうである。彼らが現実に恋愛関係にあったから、そういう変わった試みができたのかもしれません。でも、普通の人ってカメラを40分回そうが、あんまり面白いこと言わないのね‥‥。

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地球外生命体のサンプルを回収するプロジェクトはNASAのものでした。これが失敗してメキシコは大変なことになる。にもかかわらず、アメリカは国境沿いに壁を立ててしまい、自分たちだけは地球外生命体の脅威から身を守っている。中東地域での紛争とアメリカの関係という隠喩がいろんな場面に組み込まれているように見える。

同時多発テロ以降、アメリカは壁を立てることに熱心で、壁によって確かに守られてきたものの、逆から見ればアメリカが閉じ込められてしまったとも言える。

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あまりピンチらしいピンチもなく、予算の都合もあってかモンスターは最後まで出ない。最後に主人公たちはタコみたいな地球外生命体に襲われそうになる。ところがすんでのところでタコは急に交尾を始めるのだった。宇宙ダコの美しい交尾を見て、主人公たちは感動する。でも、主人公たちの感動がそれほど伝わってこないという。

このタコの交尾に触発されたのか、社長令嬢サマンサが「わたし、帰りたくない!」と言い出してコールダーにキスをする。ええ~! 急に? って、なりますよ。なんだろう、この置いてけぼり感。宇宙ダコから怪しげなフェロモンが出ていたとしか考えられない。愛は地球を救うとか、そういうことなのかな。夏休みに日テレでやってる24時間テレビ的なテーマなのかしら。わたしも宇宙ダコの交尾を生で見れば理解できるやもしれません。日テレを応援できるやもしれません。

映画の終わりと始まりが実は繋がっているんですね。でも、いろいろ盛り込んであるものの、意味がよく汲み取れなかった。監督はこの映画でチャンスを手にし、あたらしいゴジラの監督をすることになったそうです。モンスターをただの残虐な悪と描かないところがいいですし、ちょっと変わったゴジラが観られそうで楽しみです。 
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