28
2015

映画「砂の女」

砂の女
1964年 / 日本 / 監督:勅使河原宏 / ミステリー

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自由とは、文明とは。人は水さえあれば生きていける!
【あらすじ】
砂に囲まれた家に軟禁されたら、いろんなことがどうでもよくなった。



【感想】
他人の顔」に続き、安部公房原作作品です。原作は未読。ほんとよくわからないんだなあ。よくわからずに惹きつけられる不思議な魅力がある。

休暇をとって東京から昆虫探しに来た教師(岡田英次)。砂丘で昆虫探しをするうちに部落の老人と出会う。

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男は老人からの紹介で、夫と娘を亡くした女(岸田今日子)の家に一晩泊まることに。だが、翌朝出立しようとすると縄梯子は取り外されている。砂の崖に囲まれた家に閉じ込められてしまい、砂掻きの仕事をやるしかなくなる。あまりにも不条理な形で始まった軟禁生活に怒りを露にする男。だが、どんなに怒ろうとも誰も助けに来てくれない。男は、妖しげな色気を漂わせる女と砂に囚われていく。

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リアリティがまるでない、あまりに無茶苦茶な話なんだけど、なぜか引き込まれる。男は教師ということで小難しいことを口にする。「他人の顔」でも主人公がそんな感じだったけど。ひょっとして安部公房、インテリが嫌いなんだろうか。インテリ教師は理由もなく、かわいそうな目に遭います。

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逃げ出したら砂に埋まってしまいました。すぐに「ちょっとぉ! 誰か助けて~!」と情けない声を出す。インテリは根性無いからなあ。それにしても、面白いお顔。

村人をぶっ飛ばしてもここを出るんだ! とばかりにシャドーボクシングをするところは最高です。すぐやめるけど。飽きたのかな。弱そうなところがたまらん! この場面はものすごくときめきました。もっとこういうマヌケな場面を入れるべきだ。

やがて軟禁生活にも慣れ、せっせと砂掻きに精を出す男。働いていれば、タバコや酒などの配給ももらえる。妖しげな女とは仲良くなり夫婦同様の生活を送っている。

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男は軟禁当初、自由を求め脱出することばかり考えていた。しかし、本当に自由とは必要なものなのだろうか。砂さえ掻いていれば、とりあえず最低限の生活が送れるとしたら、それでも我々は自由を求めるだろうか。外の世界に何があるのか。男は外の世界が嫌で、わざわざ虫捕りをやるために、こんな辺鄙な場所まで来た。

女は、家と家の周囲だけという極小の世界に満足している。外の世界を欲するのが自由なら、自分が心地良い狭い空間に閉じこもる自由もあるのかもしれない。女が欲したのは、男とのシンプルな生活だった。娯楽もなく、職業選択の自由もなく、贅沢もできない。不条理に軟禁され人権はない。だが、なぜか「こういう生活もありなんじゃないか」と思わされてしまう。若き日の岸田今日子がものすごく色っぽいからだろうか。結局そこか。

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男はやがて逃げ出す機会を得ながらも、家に戻ってしまう。効率的な水の貯蓄手段を思いついたからであり、その発明の価値は部落の人間にしかわかってもらえないのだ。生命の維持に欠かせない水。水の価値を意識するのは、何不自由なく暮らしている町の人間より、砂漠の民である。

この映画は難解でよくわからない。文明が発達することで、見なくてもいいものを見過ぎているのだろうか。もっと根源的なもの、水のようなものを探す生活こそが人にとって必要ということなのか。労働とは結局、砂を掻くようなもので、条件や種類が違っても多少色の違う砂を掻くようなもので大きな差はないのか。こんな後ろ向きの考えをするのは、砂に取り込まれた証拠なのかもしれない。砂だらけの異様な風景、砂がまとわりついた女の体、怪しげな村人たち、CGなど一切なかった時代にこんな奇妙な世界を表現していたことに驚く。

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