07
2015

ドキュメンタリー「二郎は鮨の夢を見る」

二郎は鮨の夢を見る
Jiro Dreams of Sushi / 2011年 / アメリカ / 監督:デヴィッド・ゲルブ / 職人

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職人の仕事。
【あらすじ】
東京、銀座の地下にある鮨屋「すきやばし次郎」の店主、小野二郎。職人とは何か。



【感想】
どんな世界でも、第一線にいる人が物を語ることは珍しい。他人に何かを語っている時間があるならば、さらに新しい何かを発見する。それが第一線にいる人々なのだと思う。そういった意味で、このドキュメンタリーは貴重なものだと思います。

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銀座の「すきやばし次郎」といえば、予約は何ヶ月先、オバマ大統領も食べにきた、メニューはおまかせのみで一人三万円からなど、敷居の高さが取り沙汰されることが多い。おいそれとは入れない高級鮨店の内部では何が行われているのか。鮨という題材は、日本人には馴染み深い。だからこそ、日本人の監督は誰も取り上げてこなかったのかもしれない。

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職人の修行の様子が興味深い。卵焼き一つ焼くのですら、二郎さんから認められるまで半年以上かかったという弟子。そこまでくるのに200枚以上の卵焼きを駄目にしているという。当然、失敗したものは店に出せない。卵焼きでこうならば、他の食材も同様なのかもしれない。すると、3万円からという値段設定も仕方のないことかもしれない。

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失敗した卵ってどうするのだろう。やはり捨ててしまったのだろうか。そういうところも、ちょっと気になる。

米の仕入先、マグロの仲買人など、この人たちもやはり職人なのだ。自分たちの商品を活かせるから次郎に卸している、と言っている。売り手でありながら買い手を選ぶような雰囲気がある。店の腕が落ちると、こういった人たちに舐められるのかもしれない。売り手と買い手の真剣勝負のようなものを感じた。

二郎さんが上げる職人の条件として、舌と鼻の良さが入っていた。疑問に思ったのは、70歳で一度倒れるまで二郎さんはタバコを吸い続けている。食べ物を扱う人間にとって、タバコ、整髪料、香水などはご法度と勝手に思っていたけれど、そうでもないのだろうか。案外、味に影響は出ないのかしら。映画内で、一流と言われるマグロの仲買人もタバコを吸っている。そういった疑問には触れていない。

監督が鮨の熱狂的ファンであり、二郎さんの人柄に惚れ込んでいたからこそ、店の内側も撮らせてもらえたのだと思う。だが、惚れ込みすぎて、都合の悪い部分についての踏み込みが甘いようにも感じたのだ。タバコについてもだが、店の値段設定についてどう考えているのか、休日に寝ていると子供から「知らないおじさんが寝ている」と言われるほど家庭を顧みずに鮨の研究を続けてきたことについてどう思うか、お客に出すおしぼりは弟子が掌を火傷しながら絞っているが本当にそんなことは必要なのか、偉大な親を持った長男の苦悩なども掘り下げてほしかった。

こんなにも真面目に仕事に取り組んでいる人たちを観ると、何か救われる思いがする。それがとても嬉しいのだ。


Gyaoで2015年7月5日~2015年7月18日まで無料配信中。
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