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2015

華麗なる一族

1974年 / 日本 / 監督:山本薩男 / 経済、ドラマ
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愛人を十人囲いたい。
あらすじ】 銀行を合併をしたい。


【感想】 4時間弱という長さの大作なので観るのをためらっていました。長さもそうなのですが、とにかくキャラが濃いんですよねえ。銀行合併の裏にある陰謀と駆け引きの話ですが、ドロドロ感がものすごい。こういった濃さを持った人物は、現代にも生きているのだろうか。もはや人種が違いすぎて宇宙人を観るようなところもある。

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阪神銀行頭取、万俵大介(佐分利信)。家に妻と愛人を同居させ、一晩ごとに交代で相手をさせる。もうそれだけですごい。「久しぶりに三人でどうだ?」などと言ったりもする。鬼畜! うーん、このケダモノっぷり。憧れるわー。弟子にしてください。

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そんな野獣のような男を父に持つ万俵鉄平(仲代達矢)。阪神特殊製鋼の専務。溶鉱炉建設に情熱を注ぐが父に利用されてしまう。

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執事兼愛人の高須相子(京マチ子)。愛人ではあるが妻寧子(月岡夢路)を追いやり、家を取り仕切る。パーティーから一族の配偶者選びなど閨閥結婚にも采配を振るう。

三国志を読んでいるような権謀術数と、尽きるところのない欲望。身内すら利用して、自分の銀行を大きくしたいという大介の野心がすさまじい。その野心すらも取り込んでしまう政治の恐ろしさというのもあるのだけど。人の欲望のうち、実は金銭欲というのはそんなに大きなものではないのかもしれない。でも、支配欲や権勢欲には際限がない。

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とにかく登場人物のギラギラ感が良いですね。戦後の貧しいときを堪え、その貧しさに対する復讐のようにも見える。現代人は、物質的なものにそれほど魅力を感じていない。生まれたときに何もかも揃っていたからだろうか。もはやお腹いっぱいに食べることは贅沢でもなんでもなくなった。ステーキをご馳走してくれるといっても、ダイエットの邪魔だからいらないという人は多いだろう。車も地方にいなければ必要ない。本や映画の全集なども場所をとるからいらない。欲しいのは、必要なときに端末にダウンロードできる権利だけあればいい。物を所有するより権利を所有するほうが便利なのだ。

ここに出てくる人々は、お腹いっぱいに旨い物を食べまくりたいし、愛人は十人囲いたい。その脂ぎったギラギラ感がまぶしくていいんですよね。バブルを経過したことが日本人の精神に大きく作用したのかもしれない。とはいえ、洗練よりもギラギラは面白い。

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官僚役で田宮二郎も出ている。のちに猟銃自殺することになりますが、この映画内の猟銃自殺に影響を受けたのかもしれませんね。

俗なるものを追求していったとき、どこかで聖に転化するような瞬間があるのかと思ったら、そんなこともなくて徹底して俗なのである。登場人物全員地獄行きみたいな腹黒さを感じる。でも地獄って天国より数段面白いだろうなあ。野心と欲望にまみれた地獄に乾杯!
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