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2015

U・ボート

Das Boot / 1981年 / 西ドイツ / 1981年 / 監督:ウォルフガング・ペーターゼン / 戦争
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【あらすじ】
潜水艦で攻撃したい。対戦ソナーと爆雷はずるいので禁止したい。


【感想】
戦後70年ということで、ケーブルテレビでは戦争映画を多くやってますね。ドイツ潜水艦の活躍を描いた「U・ボート」を観ました。Uボートに乗った将兵の3/4が帰ることができなかったと冒頭に表示される。軍隊の中でも相当な死亡率の高さである。

第二次大戦中に、原作者であるロータル=ギュンター・ブーフハイムがUボートの一つであるU96に同乗して取材したというだけあって、艦内の様子や乗組員の行動が詳細に描写されています。

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Uボートの係留地における魚雷の積み込み作業の様子などはマニアにはたまらないでしょうねえ。グヘヘヘ。変態っぽい。とにかく細かい部分がすばらしいです。

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息が詰まりそうなほど狭苦しい艦内の様子。通路の両側は寝台。自分が当番のときは相棒がベッドを使い、相棒が当番のときは自分がベッドを使います。ベッドが常にぬくいというサービス。頼んでない。

敵に見つかると急速潜行しなければならないときがある。急速潜行の合図があると、手の空いた乗務員は艦首のほうに一斉に走っていく。艦の頭を少しでも重くして早く潜ろうというのだろうけど。これに驚きました。今は艦が重くなっているのと、潜行までの時間も早く、ほとんど意味がないと思いますが、当時はこういった行動をとっていたのでしょうか。

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第一次大戦の頃と違って、連合国側のUボート対策は充実してきており、第二次大戦中は駆逐艦に追っかけまわされることが多い。見つかったときの恐怖たるや‥‥。この映画は、Uボートが豪快に敵を撃滅するような描写よりも、逃げ回って海の底に隠れていることのほうが多い。

駆逐艦から爆雷を投げ込まれ、爆雷を避けるために深く深く潜らざるを得ない。そうすると今度は水圧が船体を襲ってくる。水圧が艦を握りつぶすように締めつける「ギギギギギ‥‥」という金属音が恐ろしい。あまりの水圧に弾け跳ぶボルト、パイプから猛烈な勢いで噴き出す水。最悪の場合、艦が水圧で圧潰(あっかい)することもある。だが、少し上では駆逐艦がばら撒いた爆雷が爆発しており、戻ることもできない。そして、減っていく酸素。乗組員の胃がせり上がってくるような緊張感が伝わります。ここまですさまじい閉塞感を与える描写は観たことがない。

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あまりの恐怖に発狂する乗組員。

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冷静沈着な艦長(ユルゲン・プロホノフ)。自国の戦果を強調するプロパガンダ放送をばからしく思っており、軍の上層部を冷ややかに見ている。あえて敵国イギリスの音楽「ティペラリーソング」を艦内でかけるのが粋でした。盛り上がって合唱する乗組員たちも面白い。中には眉をしかめる乗組員もいたが、艦長はニヤッと笑って「歌ぐらいで(愛国心が)揺らぐものでもないだろう」みたいなことを言う。キャー、艦長ー! すてきー!

敵国のものでも、いいものはいいってね。こういうことを大っぴらに言えない状況こそが、国が異常をきたしている証拠かもしれない。

死闘を繰り広げたU96だったが、最後は報われない結果となる。安易に相手を沈めて活躍しました、良かったね、とするのではなく、死地をくぐりぬけた先で待っている自分たちの力ではどうにもならない絶望感、残酷さ、そこまで描いたのがすばらしかった。よくできた戦争映画ほど優れた反戦映画はないと言いますが、まさしく白眉の出来だと思います。相手を撃滅してスカッとする映画ではない。追っかけられて、爆雷投げ込まれてアワアワしておりますが、すばらしい映画でしたよ。

クラウス・ドルディンガーが作曲した戦闘場面の音楽もワクワクします。テレビなどでもよく耳にしますね。
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