19
2015

隠し砦の三悪人

1958年 / 日本 / 監督:黒澤明 / 時代劇
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「人の情けを活かすも殺すも己の器量しだいじゃ!」
【あらすじ】
埋蔵金を見つけたので持ち帰りたい。


【感想】
褒賞を夢見て合戦に参加した百姓の太平(千秋実、右)と又七(藤原釜足、左)。合戦に破れ、捕虜となるものの逃げ出す。逃亡中に埋蔵金の金の延べ棒を発見した二人は、侍大将の真壁六郎太や姫とともに金を自国まで持ち帰ろうとする。

狂言回しを演じる二人のユーモラスな掛け合いが「スター・ウォーズ」のC3-PO、R2-D2のモデルとなったというのはあまりにも有名で、もうどこ見てもそればっかり書いているのだった。うちも真似して書く。通ぶりたい。

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「七人の侍」に登場する百姓もそうですが、黒澤映画の百姓は哀れむべき弱い存在というだけではない。同情すべき境遇にありながらも、したたかで、落ち武者狩りで侍を殺して身ぐるみをはぐ残酷さも持っている。太平と又七も、侍大将の真壁六郎太に擦り寄ったり、ときにあざむこうとしたり、狡猾な面を持っている。だがその狡猾さは、いやらしさだけじゃなくて、どこか憎めない。したたかに生き抜こうとする力強さに魅力すら感じる。観ていて嫌な気分にならない、百姓の描き方が絶妙なんですよね。

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そして三船敏郎演じる侍大将の真壁六郎太。もう眼光が尋常じゃないよ。これほど「ただものではない」という顔面がありますでしょうか。画面に登場したときの迫力が、他の登場人物と一線を画している。侍としての挙措が実に自然に見える。誰も本物の侍など知らないはずなのだけど、こうだったんだろうなあという説得力がすごい。きゃー、三船さまー、わたしを斬ってー! ってなる。頭がおかしい。

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馬上で剣を構えたまま、敵を追いかける場面は度肝を抜かれた。馬上でまったく体が揺らがない。あんな馬の乗り方ができるんですね。斬られて落馬する敵方の侍も見事。かなり危険な場面を演じてますね。

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男勝りでぶっきらぼうな雪姫(上原美佐)。野生的で気性の激しい面と気高さを併せ持っている。短パンみたいな衣装なので、女性が肌をそこまで露出するのは、この時代にしては変に思える。でも野生児みたいな設定なので、それはいいのかな。

雪姫が真壁六郎太のライバルである田所兵衛(藤田進)をしかりつける場面は良かった。

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一騎打ちに破れた兵衛だが、六郎太は兵衛の命を奪わない。兵衛は生きながらえて帰参するが、一騎打ちの件で主君に罵られ、杖で顔を打たれて恥をかく。兵衛は「いっそ殺してくれればよかった」と六郎太を恨むことになる。そのことで恨み言をぐちぐち言う兵衛に対し、雪姫は兵衛を叱りつける。「人の情けを活かすも殺すも己の器量しだいじゃ!」このセリフがねえ、しびれますね。そこで己の愚かさに気づく兵衛なのだけど、兵衛の潔さもよい。

兵衛のような不器用な侍は、名誉を重んじるあまり、名誉に押しつぶされて死んでしまいかねない。それを雪姫の一言が救う。この一言を言えるかどうかが上に立つ者の器量なのだろう。脚本が実にいい。

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娯楽時代劇は椿三十郎も好きですが、隠し砦の三悪人も同じぐらいいいですね。特に馬上での戦いは胸が高鳴ります。出てくる登場人物がみな一癖も二癖もあるが、やはり雪姫の凛々しさ、真壁六郎太のかっこよさといったらないのだ。

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