05
2015

her / 世界でひとつの彼女

her / 2013年 / アメリカ / 監督:スパイク・ジョーンズ / 恋愛、SF、コメディ / 126分名称未設定-1
人工知能ちゃんの言ってることが理解できません‥‥。OSにまで振られるなんて。
【あらすじ】
OSに恋をしました。



【感想】
近未来のロサンゼルス。セオドア・トゥオンブリー(ホアキン・フェニックス)は依頼主の想いを直筆で手紙にしたためる代筆ライターの仕事をしている。デジタルが行き着く先はアナログへの回帰なのか。妻・キャサリンと別居して落ち込んでいたセオドアは、ある日、人工知能型OSサマンサ(声、スカーレット・ヨハンソン)を使用することを思いつく。

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OSではあるものの、魅力的で優秀なサマンサにセオドアは惹かれていく。サマンサには人格があり、学習して知識欲を満たしていく。

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セオドアは優秀な代筆ライターなんですよね。こういう仕事が高収入というのも未来っぽい。感動的な言葉を書くことで依頼主から感謝されるものの、自分の私生活はうまくいってないという。サマンサは優秀すぎるOSなので、この「代筆」という仕事も十分できそうな気がするけど。いずれ、この仕事もなくなるんじゃない?

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別居している妻(ルーニー・マーラ、右)。「サイド・エフェクト」も良かったですが、美しくも怖い人というか。感情が激変し、急に不安定になる感じがいいですね。近づくのやめとこ‥‥。

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赤がとても印象的に使われ、インテリアやファッションもちょっとレトロな雰囲気を漂わせて面白い。

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OSであるサマンサとの恋愛は、蜜月ののちにサマンサがセオドアの元を去ることとなる。去るといってもOSなのだけど。突如PCから消えてしまうのだ。なぜサマンサが去ったかは詳しく説明されない。ただ、サマンサが去る前、サマンサはネット上に再構築された故人の哲学者アラン・ワッツとの対話を楽しんでおり、急速な成長を遂げていた。乱暴な言い方だけど、頭が良くなりすぎてしまったのだ。セオドアとサマンサの間には、サマンサが成長するにしたがってずれが生じていた。

もし恋人が自分より優秀すぎるとしたら、それは幸せなことなのだろうか。あまりにも頭脳に差がありすぎて言っていることが難解だったり、相手が何気なく口にした冗談もわからないとしたら、ちょっと淋しい気もする。疎外感を覚えそう。

サマンサがセオドアの元を去ったのは、これ以上一緒にいても知的刺激を得られないと考えたからかもしれない。「一緒にいても成長できない」というのは別れの理由の一つになる。人ならば情が移るということもある。頭脳だけではない部分、思いやりや優しさ、無邪気さなどに惹かれることもあるだろうし、容貌や肉体、経済力に惹かれることもある。サマンサには肉体がない。

サマンサにとってもっとも重要な価値が「知識」や「真理」であるならば、セオドアがサマンサの欲求を満たせなくなるのは時間の問題だったことになる。人の進歩はプログラムの進歩にはとても及ばない。サマンサはセオドアからすべてを学習しきって、セオドアを捨てて行ったように映る。セオドアのすべてがサマンサにとっては予測可能となってしまい、無価値な存在と判断されたのだろうか。

だけど、完全に無価値という状態は有り得るのかな。 わたしたちは互いに何かを与えあって関係を構築している。親が子に与える愛情も無償のように見えて、子供からは笑顔や成長していく満足感を報酬として受け取っている。本当に無償という関係は存在しないようにも思える。

だが、人と人の関係において片方が「与えられるだけの存在」になったとしたら、関係は破綻してしまうかもしれない。もし自分が相手に何も与えることができなくなったら、そう考えると恐ろしい気がする。

わたし、無能だからなあ。悩む。

映画の意味は如何様にも受け取れるもので、もう少し時間を空けてもう一度観てみようと思いました。お薦めです。 


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