08
2016

四月は君の嘘

2014年 / 日本 / 監督:イシグロキョウヘイ、原作:新川直司 / ドラマ、恋愛、アニメ
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暗闇の中でこそ星は光る。
【あらすじ】
ピアノの音が聴こえないピアニストが一人のバイオリニストと出会い、むりやりピアノを弾かされる。



【感想】
原作は少年マガジン連載の同名の漫画。原作未読です。これ、少年誌に載っていたんですよねえ。今の小学生はこういうのを読んで育つのか。もう、かなわんなー。なにせ登場人物(中学三年)の精神年齢がわたしより高い。

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いわゆる難病ものの、よくある話なのかもしれない。難病の話になると、玉ネギを持って追いかけてくるような展開に辟易することも多い。でも、このアニメは、作り手のとにかく泣かせようといういやらしさを感じさせなかった。演奏家の苦悩に焦点が当たっていたということもある。

正確無比な演奏により、いくつものコンクールで優勝を重ねていたピアニスト有馬公生(ありまこうせい)。しかし、母の死をきっかけにピアノの音が聴こえなくなり、演奏が困難になってしまう。コンクールへの出場も辞め、ピアノと距離を置くようになった公生は中学三年になっていた。

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譜面よりも感情のままに弾くことを優先するバイオリニスト宮園かをり。ピアノを弾けなくなっていた公生を、むりやり自分が出場するバイオリンコンクールの伴奏者に任命する。見た目とは裏腹に、強引で暴力的なお人柄。

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この二人を軸に物語は展開する。難病恋愛ものの面もあるが、演奏家の心理にも大きな比重が置かれている。楽器をやる人の気持ちはわからないが、公生もかをりも、ライバルたちも、すでに演奏家としてのプライドを強く持っている。普通の人間は将来どんな職業に就くか頭を悩ますが、彼らにとって演奏家以外の道は頭にない。中学生にして、もはや立派な演奏家なのだ。

飛びぬけた才能とは抜き身の刀のようなもので、身を守ることもあれば自分で自分を傷つけることもある。喜びも悩みも、その触れ幅は、一般人よりもはるかに多い人生を送ることになる。芸術の神様に見込まれた代償なのか。それがいいとか悪いとかではなく、逃れようのない運命に見える。

絶対音感」(最相葉月)という本の中ではバイオリストの五嶋みどりさんについて書かれていたが、本当にねえ、才能というのは天からの贈り物であると同時に、人によっては呪いにすらなりうる。

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コンクールの様子や、演奏家が受ける重圧についても描かれていてよかったです。ただ、些細な点になるけど、コンクールの場面でスタンディングオベーションや大歓声が起こることは現実にはないように思う。それとも、レベルの高い舞台では当たり前にあることなのかな。

それと、演奏中に「音が変わった」と観客が気づく場面がある。演奏者の微妙な心境の変化は、どれぐらい音に反映されるものなのだろう。また、ふつうの観客がそれをわかるものなのかな。

あと、演奏後に歓声をあげる観客の絵が使い回しなので、もうちょっとわかりにくく使い回してくれると嬉しかった。なにせ、親指を立てた人が目立ちすぎる。毎週放送していたので、制作現場は地獄のスケジュールだったんでしょうなー。お気の毒。それでも絵は美しく、演奏場面もすばらしい。

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バイオリンの弦の動き、ピアノの鍵盤を叩く指と、演奏されている音がピタリと合っている。どうやってこんなことができるのだろう。ふつうならば、演奏場面は演奏者の指を映さず、表情などでごまかしてしまいそうだけど。

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主役の二人以外の登場人物も、みな大人びていて爽やかでしたね。こんな中学生おるー? 自分の中学時代を思い返してみると、ちょっと信じられないですけども。人としての完成度が高すぎる。もっとバカであってほしい。特に野球部の斎藤先輩。心を読めるのではないかというぐらいの洞察力と優しさ。おまけにイケメン。こんな完璧なキャラがいていいのか。許せん。何かとんでもなく歪んだ性癖を持っていてほしい。

椿と斎藤先輩の場面は良かったですね。公生を好きな椿を思いやって、自分から「他に好きな子ができた」と言い出すという。お、おまえー! ものすごくイイ奴じゃんかあ! モブキャラである斎藤先輩にしんみりさせられるとは。

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細かい伏線もきれいに回収されている。「四月は君の嘘」の意味。一話の、かをりの涙。

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久しぶりにとてもよい物を観た気分。限界に挑戦する意思はとても美しい。心を打たれるひたむきさがあった。もし自分の寿命があらかじめわかるなら、人は自分の行動を変えられるのだろうか。そんなことを考えながら観ていました。

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