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2016

西の魔女が死んだ

2008年 / 日本 / 監督:長崎俊一 / ドラマ
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当たり前のことも、できない人にとってはすべてが魔法。
【あらすじ】
おばあちゃんと田舎で暮らす。



【感想】
原作は、梨木香歩による同名の小説。未読です。学校に行くのが苦痛になったまい(高橋真悠)は、しばらく学校を休み、田舎にいる祖母(サチ・パーカー)と暮らすことになる。祖母が魔女の家系と聞いたまいは、自分も魔女になりたいと願い、祖母に修行をつけてくれるよう申し出る。

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魔女の修行といえば、さぞや奇抜なものかと思ったらなんてことはない。おばあちゃんがまいに課したのは、早寝早起き、自分で自分のすべきことを決めること、などごく当たり前のこと。ちゃんとした大人になるのに必要なことだった。もっとも、大人でもできてない人は多い。わたしにも、是非修行をつけてもらいたい。

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おばあちゃん役のサチ・パーカーさんのたたずまいがいい。姿勢が良くて、指先まで神経が行き届いた振る舞いというか。寛容さと厳しさを併せ持っており、何が正しいか常に自分の中に基準を持っている。なかなかこう品良く老いれませんよね。

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おばあちゃんの暮らし方がすてきで、それは田舎暮らしのいいところしか描いていないといえば、たしかにそうなんだけども。庭で摘んだベリーからジャムを作ったり、採れた野菜でサンドウィッチを作ったり、ハーブの上にシーツを干していい香りがついたり。憧れるわー、森ガールとしてはこういうの憧れますわー。おっさんだけど。

祖母との暮らしで次第に立ち直っていくまいだったが、そんな平和な生活を乱す奴がいた。今回、唯一の犯罪者枠で登場しているゲンジ(木村祐一)の存在。近所に住む怪しげな男。

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いやあ、良かったですね。女子中学生が嫌う要素をすべて持っているのではないか。無愛想で乱暴な言葉遣い、汗臭くて不潔そうな姿、おまけにエロ本を捨てている。はい、犯罪者確定。祖母が飼う鶏が殺されたとき、まいはゲンジが犬をけしかけて殺したのではないかと疑う。そりゃそうだ、だってゲンジは犯罪者顔だもの! 間違いない! 人を見かけで判断していこう!

そんなまいにおばあちゃんは、ひねりの入ったビンタを浴びせるのであった。

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一つ気になったのは家族関係。共働きの夫婦(大森南朋、りょう)は、まいとはうまくいっている。年上の友達のようにすら見える。だが、お互いに忙しく、それほどまいに構ってやれない。まいが学校に行かなくなった理由も二人は聞かない。まいのほうからも相談はしない。両親は、まいを追いつめないように理由を聞かないのかもしれない。でも、なにか、壊れ物を扱うように娘と接しているように見えるのだ。お互いがお互いを傷つけまいとするあまり、事態を悪くしているような。

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しかし、おしゃれなお父ちゃんなのだ。わたしが子供の頃の父親たちというのは、完全なおっさんばかりで、みんなミニ独裁者みたいなイメージだったのだけど。なんだか今のお父さんたちは、話を聞いてくれそうな雰囲気がある。それは良くも悪くもではある。

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魔女修行というけれど、ハリー・ポッターのような魔法が使えるわけではない。わりと地味な魔法が多い。でも、わたしたちも魔法がいくつか使えるのではないか。言葉などもその一つで、励まされれば元気が出るし、冷たい言葉をかければ相手を殺すこともできる。意識しなくても、魔法を使っているように思える。誰しも魔法は使えるが、正しい使い方ができる人は少ない。おばあちゃんは、きちんと生きるという基本的な魔法を教えてくれたのかもしれない。

そういえば、まいの悩みの一つに「消滅」や「孤独」というものがあった。自分が死んだあと、世界は何事もなかったように続いていき、自分は孤独な闇の中でさまようのではないか。こういうことを中学時代は眠れない夜によく考えた。途中で面倒臭くなって寝たけど。きっと原作者も、こういうことが頭に浮かぶ人なのだろう。わたしからも、まいにアドバイスしたい。

その悩み解決しないからな! 40ぐらいになってもまだ「死ぬのこわー!」って、なってるから。そういうこと考える人はずっと考え続けるわけであって、おまえはずっと苦しむのだ。おばあちゃん、わたしはどうしたらいいのでしょうか!

手嶌葵さんが歌うエンディングもすばらしかったです。温かくて美味しいものが食べたくなる映画でした。

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