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2016

東京少女

2008年 / 日本 / 監督:小中和哉 / 恋愛、SF
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明治と平成、百年の時を隔てた恋
【あらすじ】
携帯電話を落っことしたら、ワームホールがあれやこれやで電話が明治時代に行ってしまった。なぜか通話はできるけど、細かいことは気にするな。



【感想】
母親の再婚に悩む女子高生・未歩(夏帆)。赤坂のホテルで、母の再婚相手との会食の際、腹を立てて席を立ってしまう。階段で携帯電話を落としたときに地震が発生、地震の衝撃でワームホールが開き、未歩の携帯電話は明治時代へと飛ばされてしまう。

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明治45年、夏目漱石の門下生で小説家志望の宮田時次郎(佐野和真)は赤坂の出版社で原稿をボツにされて落ち込んでいた。時次郎の元に、小さな白い謎の箱が落ちてくる。時次郎にとってはその箱が何かわからなかった。

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携帯電話をなくした未歩は、自分の携帯電話に掛けてみた。恐る恐る電話に出た時次郎。電話が時間を超えたことが信じられず、相手が嘘をついていると思い、罵り合っていた二人。だが、お互いのことを語り、悩みを相談しあううちに相手に好意を寄せていく。

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タイムリープを扱った作品は複雑化しておりますが、とてもシンプルなお話ですね。シンプルといってもそれが悪いということもなく、すっきりとまとまっていて観やすい。話の鍵になる、おばあちゃんと手鏡のエピソードもいい。

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主演の二人も役にピッタリとはまっているように思えた。演技の巧拙はわたしにはわかりませんが、二人が作り出す雰囲気がいい。それは単に若さというだけかもしれない。でもそれがいい。

未歩の残酷さも良かった。未歩は、まだ父親の死を引きずっている。でも、母親はもう再婚を考えている。未歩にはそれが許せない。思春期特有の潔癖さというのもあるのだろう。母が再婚相手と家の前でキスしているのを見ると、母に向かって「お父さんも見ていたと思うよ‥‥」などと批難する。どうすれば母親がもっとも困るか、完全にわかっている。もう、これは、ぐええええ、とならざるを得ない。なにこのずるさ。最高!

気に入らないのは自分なのに、亡くなった父親にかこつけて批難するというテクニック。女の醜さ全開じゃないですかあ! たまらん! 「女の」醜さとか書くと怒られそうですけど、でもこれ男はあんまりやらないんじゃないだろうか。もう、この場面にグッと来てしまった。変なところでグッと来ますね、実に。

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そんな、未歩に優しくアドバイスする時次郎。包容力のあるいい男よ。

二人のデートはほのぼのします。時代は違えど、同じ場所で通話をしながらデートする二人。未歩はともかくとして、時次郎の場合は携帯電話を周りの人が知らないから、謎の箱に向かってしゃべる不審な男に見えるだろうけど。しかし、この映画が公開された2008年て、まだガラケーだったんですね。今やスマホで、ガラケーなどほとんど見かけない。などと書きながら、いまだにわたしはガラケーだった。

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きちんと話はまとまっていて、最後は少しホロッとさせられる展開に。時次郎のまっすぐな性格が気持ちいい。

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やや気になったのは、登場人物の心境を説明するセリフが多すぎるところでしょうか。あまりに不自然な独り言が多い。時次郎の小説は「人間が描けてない」とボツにされるが、自分の心境を独り言連発で説明するのも、やはり人間が描けてないんじゃないだろうか。偉そうなことを書いてしまった。

それと、未来から来た電話のことを時次郎は誰にも相談しない。それこそ夏目漱石にでも相談すればと思うのだけど。漱石は東大で教鞭をとっていたわけだし、周りに物理の先生もいるのだから。そんな細かいことはいいのかしら。いいのですね。気にすんな。ということで、主演の二人が実に爽やかでした。観終わってから、時次郎が実在したのか、「宮田時次郎」という名前を検索してみたくなる作品でした。



DVDジャケットの未歩の袴姿ですが、劇中では一切出てきません。時を隔てて、実際には一緒にデートできなかった二人ですが、未歩のささやかな願いをかなえた、ちょっと粋なはからいに思えました。いいですね、こういうの。

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