28
2016

サード・パーソン

THIRD PERSON / 2013年 / ベルギー、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ / ドラマ
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創作のためなら誰を傷つけてもかまわない。
【あらすじ】
ニューヨーク、ローマ、パリ、三組の男女が並行して描かれる物語。



【感想】
ネタバレせずに書くのが難しい作品なので、ネタバレありということで。ちょっと込み入った話なんですね。この作品は三組の男女の物語。それぞれニューヨーク、ローマ、パリと離れた場所にいる男女だが、話が進んでいくうちに違和感を覚える。ホテルですれ違うはずのない人間がすれ違い、街にいるはずのない人間が背後に映り込む。

なぜそんなことが起こるかといえば、これは小説家のマイケルが創作した物語であり、登場する男女も架空の人物で、マイケルの心境が投影されている。だが、すべてが虚構というわけではない。虚構と現実が溶けあい、境目のない奇妙な夢を見ているようなのだ。

かつてはピューリツァー賞に輝いた作家マイケル(リーアム・ニーソン)。しかし、現在では凡庸な作品しか書けずにいる。

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マイケルは愛人のアンナ(オリヴィア・ワイルド、右)とイチャイチャばかりしていましてね、うらやましいなあ。

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本当にねえ、リーアム・ニーソンが実に楽しそうなんですよ。演技じゃないだろお! コラー! と言いたくなるような。お尻なんか触っちゃったりして。嫌がるアンナがとてもかわいらしい。

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オリヴィア・ワイルドは本当に愛人や娼婦役が多いですね。ピッタリなんですよね。実にいいですよ。ちょっと頬骨が突き出てエラが張っているところも、勝気な感じで魅力的。誰かに似ているなとずっと思っていたのですが、あれに似ている。

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ウルトラマンに出ていたダダ星人に似ている。美人のダダ星人である。

もう一組は、洋服のデザインを盗む産業スパイのような仕事をしているスコット(エイドリアン・ブロディ)。

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そして娘をさらわれたロマ族の女エマ(モラン・アティアス)。ロマ族はなんでこんなに差別的扱いを受けるのだろう。この二人のエピソードは、よく練られたミステリーを観るようでした。嘘を嘘で固めた二人の振る舞いは、まさに虚構を扱うマイケルそのものに見える。

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最後は、離婚している夫婦。良き父親であろうとする芸術家(ジェームズ・フランコ)、子供への虐待を疑われて子供と隔離された元妻(ミラ・クニス)。

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この男女は、溺死した子供とマイケルの関係を示しているのかな。父は子供に絵を教えたがる、これは子供にいろいろ教えてやりたかったことを表す。母親は虐待(したかどうかは曖昧)した疑いをかけられる。これは、故意ではないにせよプールで子供を溺死させてしまったことが許せない自分を表す。母親の時間や金銭へのルーズさも、マイケルの欠点に見える。


この映画で誰が実在しているかというと、作家のマイケル、マイケルの妻、編集者の三人だけに思える。マイケルは、かつて愛人との電話中、目を離した息子が溺死するという事故に遭っている。その悲しみから立ち直れていない。三組の男女について共通するのは「子供を守りたかった」ということである。

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マイケルと愛人アンナの間に子供はいないが、どこに子供が関係するかといえばアンナが実の父親と性的関係を持っていることにある。その関係を断ち切ってアンナを守ることが、子供を守ることに繋がると思う。アンナが実在かどうかは難しいところだがやはり虚構に思える。それは、アンナが他の人物と同じように最後に青い影を残して消えることにある。

作家志望のアンナが書いてきた作品を、マイケルは「芸能記事のよう」とけなすが、これはスランプに陥り、まともな作品が書けなくなった自分の作品を指しているのではないか。ただ、アンナはいないが、アンナのような愛人はいただろうし、そこがこの作品のややこしいところですね。

マイケルは私生活をさらけだし、作品を仕上げる決意をする。そのためにはどんな犠牲も厭わない。

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元妻から電話でいろいろ怒られるが、その怒られている言葉にいい言葉があると、電話中にこっそりその言葉を記録している。自分が書いている日記も「彼」という三人称で書いている。つまり、マイケルにとって、自分の存在すら「彼」という登場人物にすぎない。サード・パーソンというのは、このことを指しているのだろう。溺死した息子さえ、作品に実名で登場させる。

人間として最低であっても、創作のためならば何をやってもいいというのは芸術家には許される。そのような狂気を経て作り出された作品こそ、人生の真理があり名作になりうる。ま、だいたいそのようなことだと思うのですが、なにせオリヴィア・ワイルドが景気よく脱いでおります。いやあ、本当にいいですねえ、オリヴィア・ワイルドは。すばらしいですよ。もう人生の真理とかどうでもいいもの。

ちょっとややこしい作品なので好き嫌いは分かれるでしょうが、とても楽しめました。

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