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2016

チョコレートドーナツ

ANY DAY NOW / 2012年 / アメリカ / 監督:トラヴィス・ファイン / ドラマ
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家族の条件とは。
【あらすじ】
同性愛者のカップルが障害を抱えた子を引き取ります。



【感想】
実在の人物をモデルにした物語(公式サイト)ということですが、どこまでが実話で、どこからがフィクションなのかは不明。公式サイトでも、あまり詳しく触れられてはないんですね。サイトに、そういった情報が載っていれば嬉しかったなあ。家族、差別、偏見などが主題の映画です。

1979年、カリフォルニア。歌手になることを夢見ながら、ナイトクラブでショーダンサーとして働くルディ(アラン・カミング、左)。アラン・カミングは目の辺りが若い頃のアル・パチーノに似ているなあ。ある晩、訪れた客ポール(ギャレット・ディラハント、右)と恋に落ちる。

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ルディが暮らすアパートの同じ階には、ダウン症の子供マルコ(アイザック・レイヴァ)が住んでいた。母親は薬物依存症で、マルコの世話もほったらかしにして男と遊びに行ってしまう。母親は薬物使用で逮捕。施設に送られるマルコを不憫に思い、マルコを引き取って暮らすことにしたルディとポール。

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家族同然に暮らしていた三人だったが、一年が経ったある日、ルディとポールがゲイのカップルだと周囲にばれてしまう。二人の関係を偽っていたことが原因で、マルコは家庭局に連れていかれ、ポールは弁護士の職を解雇される。マルコとの暮らしを取り戻すため、二人は裁判で戦うが周囲の偏見の壁は高かった。

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なぜルディがマルコを引きとろうとしたかといえば、やはり自分と同じマイノリティだからというのが大きいように思う。ルディはゲイとして差別を受け、マルコはダウン症として差別を受けてきた。多数派は少数派の苦しみを思いやることはできても、その苦しみを実感することまでは難しい。ルディは差別されていたからこそマルコの苦しみが自分の事のようにわかり、親身になってマルコを引き取ろうとしたのではないか。ルディと違いポールは、マルコを家庭局に送ることを提案する。ポールは、周囲に自分がゲイであることをカミングアウトできずにいた。ポールは、この時点では少数派ではないわけで、差別は受けていない。当事者感が薄いというか。マルコを家族として受け入れてポールも変わっていくけれど。

三人が共同生活を始め、しだいに家族のようになっていくのが良かったですね。

この映画で恐ろしさを感じたのは、知識が差別や偏見の盾になるかと思いきや、それほど有効に機能しなかったことである。高度な知識と倫理観を持つはずの法律関係者も偏見の深みにはまっている。特にポールの元同僚は司法取引までして、ポールたちからマルコを引き離そうとする。ぬぬぬ、非道な奴め。汚いやり方に鼻血が出そうになりますよ。

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ルディが悲しげに、ときに怒りながら歌う「I Shall Be Released」がすばらしかった。差別や偏見から完全に解放される日など来ないだろう。古い差別や偏見から解放されても、また新しい差別や偏見は生まれる。それでも戦い続けるしかないのだろう。

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マルコを見つめる二人のまなざしの優しさがいいですね。完全に夫婦。 

家族とはなんだろうと思って観ていたのですが、マルコが寝るときにルディにおとぎ話をせがむ場面がある。ああ、こういうことなのかと腑に落ちた。寝るときに誰かからおとぎ話をせがまれたら、もうその信頼関係が家族なのかもしれない。

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冒頭、マルコがさみしげに街をさまよう場面がある。これねえ、実に悲しい場面でしたね。最後まで観てようやっと意味がわかるのだけど。とてもいい映画でしたね。

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